ポルシェの魅力が1つに詰まっている

フロントタイヤが信じられないほどタイトにノーズの向きを変え、リアタイヤが積極的に追従しながら、ボディを推し進める。充足感が極めて高い。

ステアリングの重み付けは軽すぎず、重すぎず。レシオも丁度いい。感触が豊かで扱いやすいうえに、不安定になるような過敏さもない。秀でたグリップ力が、旋回性を担保してくれている。

対向車とのすれ違い時にはキャビン後方で気流が乱れるものの、通常に走行している限りドライバーズシートはほぼ無風。オープントップの開放感を、我慢なく謳歌できる。なんと中毒性のあるドライビング体験なのだろうか。

最近の筆者は、長距離の自動車旅行や国外で運転するような場面では、クロスオーバーを選びがちだった。最高のドライビングルートが広がっていても、エンジンやサウンド、コーナリングの魅力を存分には味わえていなかった。

しかしガンザーワークス993 スピードスター・リマスタードは、忘れていたすべてを享受させてくれた。リアタイヤ主導のエキゾチックな挙動と、見事なステアリングで。

ボディ剛性が高まるであろう、クーペへの関心は尽きない。それでも、空冷エンジンのポルシェ911という個性や純粋さに、ポルシェ・ボクスター級のバランスが融合している。アナログな魅力のすべてが、1つに詰まっている。

これに何か1つ、オーダーメイドらしい要素を僅かに加えたい。恐らく過去最も魅力的な、自分だけのドライバーズカーの1台が完成するに違いない。

ガンザーワークス993 スピードスター・リマスタード（北米仕様）のスペック

英国価格：65万ポンド（約1億855万円／ベース車両抜き）
全長：4245mm（標準993型911 クーペ）
全幅：1730mm（標準993型911 クーペ）
全高：1300mm（標準993型911 クーペ）
最高速度：289km/h（予想）
0-100km/h加速：4.0秒（予想）
燃費：−
CO2排出量：−
車両重量：1235kg
パワートレイン：水平対向6気筒3996cc自然吸気
使用燃料：ガソリン
最高出力：441ps/7800rpm
最大トルク：−
ギアボックス：6速マニュアル

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