期待のワンモーション・グリップ レクサスRZ 450e 純EVの試作車へ英国試乗 前編
公開 : 2022.05.16 08:25
トヨタの上級ブランド、レクサス初となる純EV専用モデルの試作車。英国編集部が新技術の仕上りを確かめました。
e-TNGAアーキテクチャの新モデル
レクサスは既に、コンパクト・クロスオーバーの純EV版、UX 300eを販売している。だが、今回試乗したプロトタイプは、電気自動車専用のプラットフォームを採用したRZ 450e。ブランド初となる純EV特化モデルであり、重要度は間違いなく高い。
電動化技術として、長年トヨタとレクサスは独自のシリーズ・パラレル方式ハイブリッドに固執し、技術を磨いてきた。このRZ 450eは、ゼロ・エミッションに対する新しいステップだといえる。
早速、このクロスオーバーを詳しく確認していこう。ベースとするのは純EV専用のe-TNGAアーキテクチャで、注文の受け付けが始まったトヨタbZ4Xとスバル・ソルテラも採用するもの。
RZ 450eではツインモーターが標準で、合計の最高出力は313ps、最大トルクは44.2kg-mを発揮する。リチウムイオンとなる駆動用バッテリーの容量は、このクラスではやや小さめの71.4kWh。航続距離は、402km以上になる見込みだという。
そして何より筆者が関心を抱いたのが、指先と地面とを結びつける、新しいステアリング・システム。トヨタとレクサスが「ワンモーション・グリップ」と呼ぶ、バイワイヤー方式となる電気じかけの技術だ。
ちなみに同社としては初採用のシステムだが、実は日産の上級ブランド、インフィニティがQ50で10年ほど前に同等のものを試みている。今回はうまく普及するだろうか。
電気信号で操舵する新システムを採用
ステアリングホイールには、舵角を電気信号に変換するセンサーが内蔵されている。ステアリングラック側の電気モーターは、その信号を受けてフロントタイヤの向きを変える。
ドライバーの手のひらへフィードバックを伝えるため、別のモーターも備わっている。コーナリング時の負荷の増大に合わせて、ステアリングホイール側のモーターが力を生み、手応えを生んでくれる。
万が一に備えて、機械的にもフロントタイヤと結びついている。システムがフリーズしても大丈夫なように、旅客機にも採用されるような、万全を期したバックアップ構造が控えている。
考え方としてはさほど難しくないものの、トヨタは開発に12年を費やした。簡単な技術ではないのだろう。ちなみにRZでは、希望すれば従来的なステアリングラックを選ぶこともできるという。
どんなステアリングフィールなのか、興味を持つ読者も多いと思う。まだ完成前ではあったが、筆者の印象は特徴的で良く機能するな、というものだった。
ワンモーション・グリップを搭載するRZには、丸いステアリングホイールが付かない。リムの上下が切り取られ縦の部分だけが残った、四角い航空機の操縦桿のようなモノが備わる。
バイワイヤー・システムによって、ステアリングレシオを無段階に大きく変化させることができるため、丸い必要がないのだ。超スローな状態から、超クイックな状態まで、電気的に制御できる。