大人のためのタイプR ホンダ・アコード・ユーロR(6代目) 英国版中古車ガイド
公開 : 2022.05.18 08:25
より純粋なドライビング・プレジャー
ドアを開き、美しいレカロシートに身体を固定する。白いメーターを視界に入れつつ、モモ社製のステアリングホイールと、チタン製のシフトノブを握れば、気持ちが高揚しないクルマ好きはいないだろう。
もし興味を抱いたのなら、早めの行動がベター。英国でも残存数は少なく、日に日に状態の良い6代目アコード・タイプR(ユーロR)を探すことは難しくなっている。
それでも、300馬力の最新ハッチバックより、より純粋なドライビング・プレジャーを与えてくれることは間違いない。しっかり確認してベストの1台を見つけ出し、末永く楽しんで欲しい。タイプRの輝きは、今も霞むことはないはずだ。
オーナーの意見を聞いてみる
ジョン・スティーブンソン氏
「アコード・タイプR(ユーロR)が大好きです。22年前に最初の1台を新車で購入しました。現在所有しているのは1999年式。走行距離は約8万9000kmと短く、ステンレスのエグゾースト以外、基本的にノーマルのままです」
「知的なLSDの効果で、濡れたサーキットでも素晴らしい。アンダーステアはほぼ生じません。ほかのFFモデルとはまったく別次元といえます。多くのFRモデルより、操縦性は優れているとすら考えています」
「わたしが感じるマイナス点は、MTの2速と3速のギャップが大きいこと。また、攻めた運転をした時の燃費の悪さですね」
「エンジンは非常に信頼性が高く、ボディのサビも見られません。フロントスプリングにクラックが入り交換したことと、フロントアームとボールジョイント、ブッシュ、ドロップリンクなどは、ヘタったので新調しています」
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
走行距離が伸びても信頼性は揺るがないはず。冷間時は、エンジンノイズが大きいことが通例。滑らかな音になるまで暖気した方が良い。エンジン下部、コンロッドやボトムクランク・プーリーなどからの異音がないか耳を澄ませる。
先出のジョン・スティーブンソン氏は、4800km毎にエンジンオイルを交換している。2000rpm付近でカラカラとディーゼルエンジンのような音がする場合、タイミングベルト・テンショナー劣化のサイン。
トランスミッション
マイナーチェンジ前の場合、5速とリバースギアのシンクロメッシュが弱点。ホンダは2001年に改良を施している。英国では修理に1000ポンド(約17万円)の費用が必要。クラッチは16万km程は使える。
ブレーキ
制動力は、現代のモデルと同等に強いのが正常。アンダーボディのプラスティック製カバー裏にある、ブレーキパイプと燃料パイプの状態はチェックポイント。購入時は、パッドとベンチレーテッドディスクの残量も確かめたい。
ステアリングとサスペンション
基本的に丈夫。アンチロールバーのドロップリンクがヘタると、コツコツと異音が出る。新品は比較的安価で、交換作業も簡単。距離を走ればブッシュ類などの摩耗は進む。
ボディ
サビはアコードの大敵。フェンダーまわりやドア下部、エンジンルーム内、バルクヘッド周辺にサビがないか観察する。
クラッチフルード・リザーバーやドアミラーの付け根、サイドシル、アクセルペダルの上部なども要注意。リアドアのドアハンドルが正常に動くかも確かめる。
電気系統とインテリア
インテリアは摩耗しがち。レカロシートのサイドサポートは特に擦り切れやすい。
エアコンが正常に機能するか確かめる。エアコン・コンデンサーは、フロントバンパーの裏側で腐食しやすい。英国仕様のヘッドライトには、オートレベライザーが付いている。