大人のためのタイプR ホンダ・アコード・ユーロR(6代目) 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.05.18 08:25

より純粋なドライビング・プレジャー

ドアを開き、美しいレカロシートに身体を固定する。白いメーターを視界に入れつつ、モモ社製のステアリングホイールと、チタン製のシフトノブを握れば、気持ちが高揚しないクルマ好きはいないだろう。

もし興味を抱いたのなら、早めの行動がベター。英国でも残存数は少なく、日に日に状態の良い6代目アコード・タイプR(ユーロR)を探すことは難しくなっている。

ホンダ・アコード・タイプR(ユーロR/1998〜2002年/英国仕様)
ホンダアコード・タイプR(ユーロR/1998〜2002年/英国仕様)

それでも、300馬力の最新ハッチバックより、より純粋なドライビング・プレジャーを与えてくれることは間違いない。しっかり確認してベストの1台を見つけ出し、末永く楽しんで欲しい。タイプRの輝きは、今も霞むことはないはずだ。

オーナーの意見を聞いてみる

ジョン・スティーブンソン氏

「アコード・タイプR(ユーロR)が大好きです。22年前に最初の1台を新車で購入しました。現在所有しているのは1999年式。走行距離は約8万9000kmと短く、ステンレスのエグゾースト以外、基本的にノーマルのままです」

ホンダ・アコード・タイプR(ユーロR/1998〜2002年/英国仕様)
ホンダ・アコード・タイプR(ユーロR/1998〜2002年/英国仕様)

「知的なLSDの効果で、濡れたサーキットでも素晴らしい。アンダーステアはほぼ生じません。ほかのFFモデルとはまったく別次元といえます。多くのFRモデルより、操縦性は優れているとすら考えています」

「わたしが感じるマイナス点は、MTの2速と3速のギャップが大きいこと。また、攻めた運転をした時の燃費の悪さですね」

「エンジンは非常に信頼性が高く、ボディのサビも見られません。フロントスプリングにクラックが入り交換したことと、フロントアームとボールジョイント、ブッシュ、ドロップリンクなどは、ヘタったので新調しています」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

走行距離が伸びても信頼性は揺るがないはず。冷間時は、エンジンノイズが大きいことが通例。滑らかな音になるまで暖気した方が良い。エンジン下部、コンロッドやボトムクランク・プーリーなどからの異音がないか耳を澄ませる。

先出のジョン・スティーブンソン氏は、4800km毎にエンジンオイルを交換している。2000rpm付近でカラカラとディーゼルエンジンのような音がする場合、タイミングベルト・テンショナー劣化のサイン。

トランスミッション

ホンダ・アコード・タイプR(ユーロR/1998〜2002年/英国仕様)
ホンダ・アコード・タイプR(ユーロR/1998〜2002年/英国仕様)

マイナーチェンジ前の場合、5速とリバースギアのシンクロメッシュが弱点。ホンダは2001年に改良を施している。英国では修理に1000ポンド(約17万円)の費用が必要。クラッチは16万km程は使える。

ブレーキ

制動力は、現代のモデルと同等に強いのが正常。アンダーボディのプラスティック製カバー裏にある、ブレーキパイプと燃料パイプの状態はチェックポイント。購入時は、パッドとベンチレーテッドディスクの残量も確かめたい。

ステアリングとサスペンション

基本的に丈夫。アンチロールバーのドロップリンクがヘタると、コツコツと異音が出る。新品は比較的安価で、交換作業も簡単。距離を走ればブッシュ類などの摩耗は進む。

ボディ

サビはアコードの大敵。フェンダーまわりやドア下部、エンジンルーム内、バルクヘッド周辺にサビがないか観察する。

クラッチフルード・リザーバーやドアミラーの付け根、サイドシル、アクセルペダルの上部なども要注意。リアドアのドアハンドルが正常に動くかも確かめる。

電気系統とインテリア

インテリアは摩耗しがち。レカロシートのサイドサポートは特に擦り切れやすい。

エアコンが正常に機能するか確かめる。エアコン・コンデンサーは、フロントバンパーの裏側で腐食しやすい。英国仕様のヘッドライトには、オートレベライザーが付いている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事