メルセデス・ベンツCクラス 詳細データテスト 競合車を引き離すEV航続距離 強みは走りより洗練性

公開 : 2022.05.14 20:25  更新 : 2022.06.21 13:20

内装 ★★★★★★★★☆☆

プレミアムブランドが用意するメディア貸し出し用の広報車で、今回のC300eほど質素な装備内容のクルマは珍しい。英国で販売されるガソリンハイブリッドのCクラスとしては、もっともシンプルで安価な仕様と言っていいだろう。適用されている唯一のオプションは、メタリック塗装だった。

それでも、室内に収まってみると、じつに高級感があり、装備の充実した空間だと感じられる。現実的にみて本当に必要なアイテムはすべて標準装備され、いまどきの高級車として、第一印象は歓迎できるものだった。

細かくみれば質感の低いマテリアルも使われているが、一応は満足できるレベル。前席周りは広いが、後席は平均レベル。トランクはハイブリッド用バッテリーの影響で、深さがやや足りない。
細かくみれば質感の低いマテリアルも使われているが、一応は満足できるレベル。前席周りは広いが、後席は平均レベル。トランクはハイブリッド用バッテリーの影響で、深さがやや足りない。    LUC LACEY

ところが、じっくりと観察してみると、快適性や質感のレベルは大いに賞賛できるというほどではない。もっとも、十分に合格点を与えられるレベルではあるが。ドライバーズシートに収まると、身の回りのスペースはかなり広く、適切に配置された操縦系はアジャストも効く。

ただし、スポーツシートは、座面長調節があるにもかかわらず、快適性やサポート性が飛び抜けていいわけではない。また、足元空間のつま先周りがおかしなくらい制限されていて、薄っぺらいプラスティックが目立つのは残念なポイントだ。

内装のほとんどはハイクオリティでソリッド感があるものの、ダルくて味気ないモールディングや、エッジの尖ったところもある。メルセデスらしからぬ明らかなコストカットの痕跡を、ここまであからさまにみせられたくはなかった。

操作系は、デジタル満載となっている。ドライバー正面に据えられた12.3インチのデジタルメーターは、最初の表示は複雑でごちゃついているが、使いやすいように設定し直すことができる対応性がある。

センターコンソールを占拠するのは、傾斜して設置された、11.9インチの縦型インフォテインメントディスプレイだ。画面下端のセクションには常時エアコン操作パネルが表示されている。

後席の広さは、このセグメントとしては平均的なレベルに過ぎない。たいていのひとならば快適に過ごせる十分なスペースがあるものの、極端に背が高かったりするとそうでもない。

トランクスペースはそこそこワイドで、後席シートバックを倒せば長いものも積めるが、床下にバッテリーを積んでいるので深さはそれほどでもない。もっとも浅い部分はトランクスルー部分で、310mmしかない。かさばる荷物は積み込みに困るかもしれないが、積載性能を重視するのであればワゴンを選ぶという方法もある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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