フォーミュラEの第3世代マシンにドライバーが期待する理由 レース展開が大きく変わる?

公開 : 2022.05.12 18:25

ピットに新要素導入 戦略も多様化?

一方、Gen3がオープンホイール(タイヤがむき出しの仕様)となったことも、レースに影響を与えるだろう。Gen2のホイールスパッツは取り外され、サスペンションがほぼ無防備な状態となるため、これまで多発していたマシン同士の接触は減少するはずだ。

「フロントウイングを見ると、かなり出っ張っているので、特に注意が必要だ。ダウンフォースレベルが大きくなっているから、ウィングを失えば、性能上のペナルティとなるからね」

ポルシェのアンドレ・ロッテラー(左)とパスカル・ウェーレイン(右)
ポルシェのアンドレ・ロッテラー(左)とパスカル・ウェーレイン(右)

まだ明確になっていないのは、ABBの急速充電機能の詳細だ。現在、「アタックモード」や「ファンブースト」といったレース中のパワーアップが導入されているが、来年には急速充電ピットストップが追加され、戦略のバリエーションをさらに増やす予定だという。では、これでエネルギー管理に気を取られることなく、常に全力疾走できるようになるのだろうか?ウェーレインは、次のように話している。

「最終的なレギュレーションはまだ100%確定したわけではない。はっきりしているのは、より多くのエネルギーを回収できることと、バッテリーの小型化でマシンがかなり軽くなったことだ。ピットストップや急速充電を含め、どのようなオプションがあるのか、まだ分からないことが多い」

レギュレーター、フォーミュラE、そして供給元(シャシーのスパーク・レーシング・テクノロジー、バッテリーのウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング、全天候型タイヤのハンコック、そして充電のABB)にとって、これから詰めるべきことがまだたくさんある。

そしてドライバーたちは、今シーズンをこなすだけで精一杯だ。しかし、夏にはGen3をテストする機会がやってくる。その外見についてはどうであれ、性能の可能性とそれをどう活用するかが、彼らを夢中にさせるのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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