成功のモデルチェンジ プジョー308 ハイブリッド180へ試乗 機敏で滑らかなPHEV

公開 : 2022.05.21 08:25

充分以上の動力性能で敏捷な走り

インテリアデザインは、従来より質感を高めた。先代までは代わり映えのしない素材が用いられていたが、新しい308はだいぶ異なる。細かなスイッチ類や、手に触れにくい部分の造形まで、しっかり配慮されている。助手席回りには小物入れも多い。

右ハンドル市場でうれしいニュースといえるのが、助手席前のグローブボックス。左ハンドル車と変わらない、大きな容量が与えられている。

プジョー308 ハイブリッド180 アリュール・プレミアム(英国仕様)
プジョー308 ハイブリッド180 アリュール・プレミアム(英国仕様)

1990年代からPSAグループのモデルでは、左ハンドル車と同じ位置にヒューズボックスが搭載されていた。その影響で、グローブボックスが小さかったのだ。最新型では、ちゃんと右側へ移設されている。これは大きく評価したいプラスポイントといえる。

発進させてみると、機敏で滑らかに308は走る。味わいのある操縦性を備えたハッチバックだ。内燃エンジン版と比べて、300kgも重いPHEV版でも変わらない。

308で1番ダイナミックな走りを楽しみたいなら、アリュール・グレードの1.2Lガソリンターボがオススメ。17インチホイールを履き、車重は1300kgを切るという軽さだ。だが、PHEVでもライバル以上に敏捷。ステアリングの感触も良い。

4気筒1.6Lガソリンターボ・エンジンに、110psの駆動用モーターが組み合わされたパワートレインは、ハーフスロットル程度でも鋭く滑らかに反応する。扱いやすく、洗練性も上々。内燃エンジンは存在感も控えめだ。

アクセルペダルを傾けると、活発な加速力を引き出せる。ファミリーハッチバックとして、充分以上の動力性能といえる。

3代目へのモデルチェンジは成功

PHEVだから駆動用モーターだけでの走行も可能。郊外の一般道も守備範囲となっている。プジョーはEVモードでの航続距離を約64kmと主張しているが、今回試乗した限りでは、48kmから56kmの間が現実的な距離のようだ。

もちろん、運転スタイル次第で電気だけで走れる距離は変化する。それでも、このクラスのPHEVとしては優秀といって良いだろう。

プジョー308 ハイブリッド180 アリュール・プレミアム(英国仕様)
プジョー308 ハイブリッド180 アリュール・プレミアム(英国仕様)

定期的に充電する環境があれば、日常的な短距離移動は、ほぼ電気だけでまかなえる。内燃エンジン版の308より、エネルギーコストを抑えることも難しくない。

PHEVには、今回試乗したハイブリッド180のほかに、最高出力で勝る225も英国市場には導入される。だが、最大トルクは同値。0-100km/h加速も殆ど変わらないため、お手頃な180の方が懸命な選択肢かもしれない。

3代目への308のモデルチェンジは、成功したといえる。すべての人の好みをカバーしているわけではないが、至らないところは見当たらない。

実用性やコストパフォーマンスを厳密に比べると、より訴求力を持つライバルは存在する。しかし適度なサイズで、走りも楽しめるファミリーハッチバックをお探しなら、308は好適。スタイリングも良く、多くの人がイイな、と感じるのではないだろうか。

プジョー308 ハイブリッド180 アリュール・プレミアム(英国仕様)のスペック

英国価格:3万8470ポンド(約642万円)
全長:4367mm
全幅:1852mm
全高:1441mm
最高速度:223km/h
0-100km/h加速:7.6秒
燃費:75.6-99.5km/L
CO2排出量:24-30g/km
車両重量:1660kg
パワートレイン:直列4気筒1598ccターボチャージャー+AC同期モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:179ps/6000rpm(エンジン)/110ps(モーター)
最大トルク:−
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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