FR+MTのG82型は大アリ BMW M4 クーペへ試乗 今こそ選びたいマニュアルのM
公開 : 2022.05.25 08:25
クルマとの関わりを深めてくれる
新しいG82型M4の能力は極めて高い。記載をためらうようなスピードでも、ドライバーを穏やかにクルージングしているような気持ちにしてしまうほど。
その感覚を振り払うには、サーキットへ向かうか、クルマとの関わりを深めるか、どちらかが必要になる。その1つが、クラッチペダル付きの6速MTだ。低い速度域でも、エンジンの回転数の変化やシャシーバランスを味わうことが可能になる。
MTなら、直6ツインターボ・エンジンがどんな状態にあるのか、より詳しく理解できる。次のコーナーを何速で走るか考える必要もある。ヒール&トウのスキルを試すこともできる。未習得なら、レブマッチ機能で回転数を調整してくれる。
確かに、シフトフィールは最高ではないかもしれない。だとしても、充足感は濃い。レシオ比も良い。3速までがロングで、1速を保つような場面も多いポルシェとは異なる。トルクが太く、回転数を気にせず意欲的に運転できるとはいえ。
M4の6速MTでは、2速で回転数を引っ張ると122km/hに届いてしまうが、ポルシェほどではない。3速に入れると、レブリミットで185km/hに到達する。
ほかのレシオも、いい塩梅でクロスしている。110km/hを6速で走る場合、エンジンは2400rpm。近年のガソリンターボ車としては、かなり高い回転数といえる。
次期型は世界共通でハイブリッドにATへ
標準のM4の場合、M4 コンペティションより30ps最高出力は低くなる。その差はゼロではないものの、非常に速いことに変わりはない。むしろクルマとの関わりが多い分、MTの方がより強力に感じられたことも事実だ。
エンジンサウンドも、よりナチュラルに聞こえた。少しザラついた響きは古くのM3とは異質なものの、回転数とともに変化する音響は興奮を誘う。
やはりG82型M4のMTは良い。しかし、英国ではどの正規ディーラーを訪れても、選ぶことはできない。しかも次期型はほぼ間違いなく、世界共通でハイブリッド・エンジンにATという組み合わせだけに絞られるだろう。
日本や北米などの地域でM4を検討している人は、6速MTを候補に加えていただきたい。自ら左手でギアを選びたい英国人は、ディーラーでMT版が欲しいと訴えて欲しい。残された時間は、想像しているほど長くはないようだ。
BMW M4 クーペ(欧州仕様)のスペック
ドイツ価格:8万7300ユーロ(約1187万円)
全長:4805mm
全幅:1885mm
全高:1395mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-100km/h加速:4.2秒
燃費:9.5-9.7km/L
CO2排出量:235-240g/km
車両重量:1700kg
パワートレイン:直列6気筒2993ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:479ps/6250rpm
最大トルク:55.8kg-m/2650rpm-6130rpm
ギアボックス:6速マニュアル