不当に過小評価されている名車 39選 後編 魅力が伝わらなかった悲運のクルマたち

公開 : 2022.05.21 18:05

本当は素晴らしいクルマでも、なぜか低く評価されてしまうことがあります。その価値を見直してみました。

ジェンセン・ヒーレー

1972年に発売されたジェンセン・ヒーレーは、古典的な英国スポーツカーの方式を徹底的にモダンにアレンジしたモデルだった。ロータスのツインカム16バルブ・エンジンを搭載しながらも、快適性と優れたハンドリングを実現している。

トランスミッションはサンビーム・レイピアから流用され、サスペンション、ステアリング、フロントサブフレームはすべてヴォグゾールの部品だった。現存する個体では、初期の不具合は大方修正されているはずだ。ジェンセン・ヒーレーは良心的で比較的手頃な価格のブリティッシュ・クラシックとなっている。

ジェンセン・ヒーレー
ジェンセン・ヒーレー

フィアット・ティーポ

初代フィアット・ティーポは、1989年にオペル・ベクトラ(2位)とフォルクスワーゲンパサート(3位)を抑えて、欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するほどの実力を備えている。

エスコートやアストラの競合車として、「全体として、ティーポはバランスのとれた、非常に有能なパッケージであり、魅力的な価格である」と評されたのである。優れた高性能バージョンもあったが、あまり注目されなかった。残念。

フィアット・ティーポ
フィアット・ティーポ

フェラーリ612スカリエッティ

612スカリエッティは、なぜかいつも同クラスのフェラーリの影に隠れている。スタイリングは主観的な問題だが、612スカリエッティに「美しい」というレッテルを貼るのは難しいだろう。

それから、4人乗りという要素も尾を引く。家族を乗せることは、跳ね馬に対する冒涜であるかのようだ。また、乗り心地も柔らかめである。こうした理由からフェラーリが軟弱になった証拠と見る向きもある。後輪駆動のV12スーパーカーなのに。

フェラーリ612スカリエッティ
フェラーリ612スカリエッティ

キャデラック・アランテ

デロリアンDMC-12と同様、キャデラック・アランテのバックストーリーは、間違いなく本車よりも興味深いものだ。イタリアのピニンファリーナが製作したボディをボーイング747型機で米ミシガン州に空輸し、ゼネラルモーターズが完成させるという、ゴードン・ゲッコー(映画『ウォール街』の主人公、冷淡な投資家)が電卓に手を伸ばしそうな過剰さである。

アランテはあまりにも高価で、品質上の問題が山積みであり、特に運転が楽しいというわけでもなかった。それでも、競争相手となり得なかったメルセデスSLよりは面白い。

キャデラック・アランテ
キャデラック・アランテ

メルセデス・ベンツAクラス

W168型メルセデス・ベンツAクラスは、20世紀で最も革新的で面白いクルマの1つだ。その巧みな構造、技術革新、優れたパッケージングから、初代ミニやシトロエンDSといった名車と並び称されるにふさわしい。

それなのに、名車番付で見落とされがちなのは不思議なことである。見た目は美しいとは言えず、高級感もメルセデスの名に劣るが、それでも世界中で過小評価されているクルマであることに変わりはない。

メルセデス・ベンツAクラス
メルセデス・ベンツAクラス

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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