不当に過小評価されている名車 39選 後編 魅力が伝わらなかった悲運のクルマたち

公開 : 2022.05.21 18:05

オペル・カリブラ

1990年代のクーペの中で、オペル(ヴォグゾール)・カリブラほど熟成が進んだクルマを他に挙げることができるだろうか。社会的に距離を置いた居酒屋で熱狂的な議論を巻き起こすかもしれないが、カリブラの素晴らしいデザインを否定するのは、オペル嫌いだけだろう。

意外に思えるかも知れないが、ベースモデルでCd値0.29の抵抗係数を誇る、空力的に優れたクルマでもあった。シャシーに難があるが、カリブラの美しさは今も健在である。

オペル(ヴォグゾール)・カリブラ
オペル(ヴォグゾール)・カリブラ

ボルボC30

クーペとファミリーハッチバックの間に位置するボルボC30(フェイスリフト前)は、まるでコンセプトカーをそのまま市販化したような外観だ。アウディTTほどではないが、2001年に発表されたSCCコンセプトの原型を忠実に再現しているのは評価できる。

2.5L 5気筒エンジンを搭載したT5は、インテリ向けのフォード・フォーカスSTとも言えるスポーツモデルだが、さらに高性能の「C30ポールスター」を市販化しなかったボルボを我々は決して許してはならない。

ボルボC30
ボルボC30

ジェンセンFF

ジェンセンFFの影響は無視できない。アウディのエンジニアがフィンランドの森で閃く10年前に、フルタイム四輪駆動を採用していたのだ。さらに、メルセデスとボッシュより何年も先んじて、完璧とは言い難いながらもABSを搭載している。

米国製の6276cc V8エンジンと四輪駆動により、「ファーガソン・フォーミュラ(FF)」は、どんな天候でも大陸を横断できるような無敵の性能を発揮した。

ジェンセンFF
ジェンセンFF

フォルクスワーゲン・ゴルフ3

本誌も絶賛するフォルクスワーゲン・ゴルフGTIのMk3。ゴルフGTIのオーナーになりたいなら、このモデルがかなり手頃である。もっと言うと、Mk3の全モデルが尊敬に値する。先代よりも大きく、広く、安全でありながら、人混みの中で目立つほどレトロなクルマである。VR6は、Mk3の最高峰だ。

フォルクスワーゲン・ゴルフ3
フォルクスワーゲン・ゴルフ3

トヨタランドクルーザー(プラド)

知らない人のいないトヨタのランドクルーザー。しかし、弟分のランドクルーザープラド(欧州ではランドクルーザーとして知られる)は、日本国内ほどの熱狂的な人気を集めているわけではないらしい。

しかし、世界に必要な四輪駆動車を1つだけ選ぶとすれば、間違いなくこのクルマだろう。ドウェイン・ジョンソンよりもタフなランドクルーザープラドは、汗をかかずに世界中の過酷な地形を征服することが可能だ。山賊(ランドローバー)を倒すべく生まれた、陸の巡洋艦(ランドクルーザー)である。

トヨタ・ランドクルーザー
トヨタ・ランドクルーザー

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

おすすめ記事

 

人気記事