市民のクルマの完成形 フォルクスワーゲン・マルチバンへ試乗 T7世代へモデルチェンジ
公開 : 2022.05.26 08:25
T6と比べると新世代感が大きい充実装備
着座姿勢は、ワンボックスらしく起き気味。運転席はだいぶ前方にあり、長く伸びるリアに気を使うことも事実だが、運転は難しくない。座面位置が高いことで視界は良好。遠くまで良く見え、駐車時はボディサイズを掴みやすい。
サスペンションは、コーナリング時のボディロールを巧みに抑えている。ステアリングホイールの反応は、素早く滑らか。手に伝わる感触が薄く、やや軽すぎるものの、許容範囲といえる。
7速デュアルクラッチATの変速は、キビキビしていて好感触。合流などで素早い加速を求めると若干躊躇するような癖は、従来から変わらない。
今回の試乗では、高速道路で約160kmを走らせてみたが、燃費は12.7km/L。大きさや車重を考えれば、褒めて良いだろう。
ダッシュボードには大きなタッチモニターが据えられ、運転支援システムも最新のゴルフと同水準。高機能で扱いやすく、数年前のT6と比べると新世代感はかなり大きい。
ただし、多くの車載機能のインターフェイスがタッチモニターへ集約されている。安くない価格に見合った装備ではあるものの、すべての人が扱いやすいとは感じないと思う。
エアコンの温度調整ができるタッチセンサー式のスライダーは、夜間にイルミネーションが灯らず、暗い状態では操作しにくい。操作時にクリック感が伴わず、ステレオなどは意図通りに反応したのか、わかりにくいことも気になった。
技術的なアップデートで価格も上昇
T7世代へとモデルチェンジした、フォルクスワーゲンの大型ワンボックス、マルチバン。技術的なアップデートを受けてか、価格も大幅に上昇している。
今回の試乗車の場合は、ロングボディでスタイル・グレードの2.0Lターボガソリンに数点のオプションが追加された状態だったが、英国価格は6万779ポンド(約1015万円)。7シーターの上級SUVも、文句なく選べる金額となっている。
ただし、7名が座れるとしても、SUVの場合は全員の大人が快適に過ごせるとは限らない。フォルクスワーゲン・マルチバンなら、取外し可能なシートに、キャンピングカー風のテーブルも付いている。定評のある訴求力は、しっかり受け継いでいる。
フォルクスワーゲン・マルチバン・スタイル・ロング 2.0TSI(英国仕様)のスペック
英国価格:6万779ポンド(約1015万円)
全長:5173mm
全幅:1941mm
全高:1907mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:9.0秒
燃費:11.0km/L
CO2排出量:204g/km
車両重量:2850kg
パワートレイン:直列4気筒1984ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:203ps/6000rpm
最大トルク:32.5kg-m/1500-4500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック