露出したスペアタイヤにご用心 ランドローバー・ディフェンダー 90(3) 長期テスト
公開 : 2022.05.28 09:45
いま最も注目度の高い英国製SUV、ディフェンダー。未踏の荒野から市街地までをカバーする実力を、長期テストで確かめます。
積算7547km 広い後部座席と手狭な荷室
ショートホイールベースのランドローバー・ディフェンダー 90の場合、荷室容量は297L。リアシートの広大な空間と比べると、手狭といわざるを得ない。
乗員空間と荷室とで、もう少しバランスの良い譲り合いをしても良かったと思う。筆者の勝手な推測だが、より価格の張るロングホイールベースの110を主力にしたいという、ランドローバーの意向があったのかもしれない。
積算8733km 想像以上に早く慣れたサイズ感
ショートホイールベースの90だとしても、ディフェンダーは大きなクルマだといえる。全長は、テールゲートに固定されているスペアタイヤを除いて4323mmだが、全幅はドアミラーを開くと2105mmもある。全高は1974mmと、見上げる高さだ。
都市部では珍しくない、サイズに限りのある駐車場では、手に余る大きさであることは間違いない。しかし自分でも少し驚いているのだが、このサイズへは想像以上に早く慣れることができた。
ディフェンダー 90へ乗ろうとする度に、ロンドン近郊での暮らしには必要ない大きさだと実感する。それでも、運転席に座ると自然と落ち着く。混雑した繁華街の中心部であっても、特に制限されることなく目的地を目指すことができる。
ディフェンダーが身体の延長になる
これは、ランドローバーのモデル全般にいえることだ。サイズ感に慣れるまで1週間ほど必要ではある。気が付くとボディの四隅の位置を把握できるようになっていて、穏やかなアクセルペダルのレスポンスが身体に馴染んでいる。
ブレーキペダルの反応は、このクラスでベスト。運転席からの視点は高く、視界は良好。ステアリングホイールも扱いやすい。大柄なディフェンダーが、ドライバーの身体の延長になる。
英国編集部では、試乗した結果、購入するのを保留したという読者からのメールをいただいた。止まっている時はさほど気にならなかったものの、走り出すと大きさに圧倒されてしまったことが理由だという。
確かに、まだ筆者もディフェンダー 110に乗ると同じ様な印象を持つ。とはいえ、運転する時間が長ければ、ボディサイズに対して違う印象が生まれる可能性は高いといえる。
大きなボディだけでなく、密集していて治安の余り良くない都会で気を付けるべきは、テールゲートに露出したスペアタイヤ。とあるゴルフクラブに駐車していた時は、それを取り外して持ち帰れないか、物色する怪しい人物に出くわした。
幸い、体格の良い筆者を見てそそくさと逃げて行ったので、無事ではあった。ロックナットで固定され、筋力が試される重量級のフルサイズ・タイヤであることが、盗みにくい理由にはなっているだろう。