182億円 史上最高額 究極の1台 メルセデス・ベンツ300SLRウーレンハウト・クーペ、どんなクルマ?
公開 : 2022.05.22 05:45
エンジニアの名を冠した幻のレーサー
9台が作られた300SLRの中で7番目と8番目に製作された個体には特徴的な「ガルウィングドア」を与えられていた。
メキシコで開催されるカレラ・パナメリカーナのために作られた2台こそ「300SLRウーレンハウト・クーペ」である。
ルドルフ・ウーレンハウト(1906〜1989年)は300SLシリーズの開発を指揮したメルセデスのチーフエンジニアである。
完璧主義として知られた彼は、ドライビングの腕も超一流であり、ニュルブルクリンクでは当時のトップドライバーに劣らないラップタイムを記録することができたという。
メルセデスのレース活動からの撤退を受け活躍の場がなくなってしまった300SLRクーペ(シャシーナンバー0007/55)をウーレンハウトは普段のアシとして利用していた。
これが「ウーレンハウト・クーペ」というニックネームが後に付けられた理由なのである。
1950年代のメルセデスを象徴する300SLシリーズと、その中にあって究極の進化型レーシングカーであった300SLR。
その中でもさらに2台だけが作られ、長年メルセデスが所有し続けてきた300SLRウーレンハウト・クーペ。
歴史的な経緯を考えれば、自動車史上最高の落札額は当然なのかもしれない。