メルセデス・ベンツ EV版Cクラス、2024年登場か クーペのような先進的スタイルに

公開 : 2022.05.24 06:05

ワゴンモデルの登場は……?

メルセデスは、この航続距離を実現した要因として、エネルギー密度の向上により重量を抑え、車内スペースを最大限に確保しながら長い航続距離を実現する、新しいバッテリー技術を挙げている。

CATL製の約100kWhのバッテリーは、EQSで採用される107.8kWhのものと比べて35%の軽量化を実現するだけでなく、サイズも約半分になる。市販車に導入される次世代バッテリーの詳細は不明だが、このような進歩は航続距離の向上だけでなく、居住性の改善にもつながる。

Cクラス・ワゴンEVには、電動ワゴンの将来がかかっている。
Cクラス・ワゴンEVには、電動ワゴンの将来がかかっている。

MMAプラットフォームのもう1つの重要な要素は、バッテリーと同様に省スペース・軽量化を図りながら効率を向上させる次世代電気モーターだ。CクラスEVの重量は、EQEやEQSといった上級車より軽くなるはずで、低出力のモーターを搭載した場合でも遜色ない走行性能を実現できるだろう。

充電1回あたりの航続距離を伸ばすには、空力効率が鍵となる。そのため、CクラスEVは現行車よりも張りのある、滑らかなシルエットを持つことになるだろう。クーペのように傾斜したルーフラインなど、スタイリングは現行の3ボックス・セダンとは大きく異なるはずだ。ただし、後列に3席を確保するためにコンセプトカーよりもキャビンを大幅に広くし、収納スペースも確保する必要があるだろう。

ステーションワゴンが登場するどうかは定かでない。BMW 3シリーズ・ツーリングと激しい競争を繰り広げるCクラス・ワゴンは、特に本国ドイツでは強い販売力を持っている。マーカス・シェーファーも、ワゴンモデルの導入は「技術的には可能」と断言する。しかし、SUVの著しい人気の高まりが、EVにおいてもワゴンモデルを脅かしていることは間違いない。

全固体電池への期待

メルセデス・ベンツは、次世代バッテリーのエネルギー密度を50%向上させると謳っているが、すでに次の段階に目を向けている。全固体電池の開発が進められているのだ。

台湾のバッテリー開発企業であるプロロジウム・テクノロジー(ProLogium Technology)と提携し、同社はメルセデスに約8000個の全固体電池のサンプルを供給しているという。この提携により、「今後数年間」に全固体電池のテスト車両を走らせ、2020年代後半には市販車に導入する計画だ。

メルセデス・ベンツは、台湾のバッテリー開発企業プロロジウムと提携している。
メルセデス・ベンツは、台湾のバッテリー開発企業プロロジウムと提携している。

メルセデスは、従来のリチウムイオンバッテリーのほぼ2倍の航続距離を実現するだけでなく、より軽く、より広く、より安く生産することができると期待を寄せている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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