プジョー308SWアルーレ2.0ブルーHDi 150

公開 : 2014.07.05 23:35  更新 : 2017.05.29 19:00

■どんなクルマ?

プジョーはヨーロッパでカー・オブ・ザ・イヤーに輝いたプジョー308のワゴン・バージョンの発売時期に際しては少しばかりもったいないことをしたように思える。御存じの通りプジョーは5ドア・ワゴン車のスペシャリスト・メーカーであるのにも関わらず、そのワゴンのデビューが遅れてしまったからである。

308SW、つまりワゴン・モデルはハッチバックに比べてホイールベースが110mm延長され、更にリアのオーバーハングも220mm長くなったのだ。クルマ自体の構造が再定義されたわけだが、これはただプジョー308の荷室容量を増加させるだけでなく後席の更なる居住性向上も考慮された末である。その結論としてリア・シートをそのままにしておいてもトランク容量が660ℓであり、その上後席をフラットにすれば1660ℓもの広大なスペースを獲得することに成功し、そのスペースにおいてはライバルであるスコダ・オクタビアを上回ったのである。

ロードノイズはさておき、近代的ワゴンに必要ものは使い勝手の良さだ。スペースに関して言えばリアシート60:40に分割可倒式で、その上倒す際にはテールゲートを開けてから左右の取っ手一つを引くだけで限りなくフル・フラットに近くなるという便利な機構が持たされている。

エンジンの選択はガソリンが2種類。それぞれターボチャージャー付き3気筒の1.2ℓのピュア・テックで113psと133psバージョンがある。加えてディーゼルが1.6ℓの95psと2.0ℓの154ps仕様となる。これらディーゼルはブルーHDiエンジンと呼ばれるもので、アドブルーとディーゼルの微粒子フィルターが相まって排出される窒素酸化物を減少させる効果がある。

新しい308は先代に比べてボディが140kgもの軽量化に成功しているの。テールゲートには熱可塑性の物質が採用されているが、これは今後のプジョー・ラインナップへも拡大されるであろうもの。また良い点としてドライブトレーンの搭載位置が見直された上にルーフが低くなったことで重心が20mm下がり低重心化が進んでいる。

大型のガラスルーフは非常に印象的ではあるが、残念ながらそれは低重心化のアドバンテージをわずかに失ってしまう可能性があるということも付け加えておこう。

それはともかく軽量化と経済的なエンジンの相性はよく1.6ℓディーゼルのブルーHDi 120は38.7km/ℓという低燃費とCO2排出量85g/kmを発揮し、これは他社の同セグメントと比較しても最も素晴らしい数値であるといえる。また、これらデータと実燃費に大差ないということも魅力である。

われわれが今回テストしている個体はそれよりパワフルな2.0ℓ版ディーゼルのブルーHDi であるが、それでも6速MTと相まって30.0km/ℓとCO2排出量105g/kmをマークするのだ。

■どんな感じ?

オプションのパノラマルーフを装着したプジョー308は壮観であり、リア・シートに座っていれば凄まじいほどの開放感がある。ひと回り大きなクルマの中にいるような点は良いセールスポイントともなりそうである。

延長されたボディ・サイズのお陰でリア・シートはすこぶる快適であり、足元も広々としている。またフォード・フォーカスやフィルクスワーゲン・ゴルフ・エステートと比べても着座位置は高めであり、これは窓の外への好奇心に満ちた子供にも嬉しいニュースであるはずだ。

2.0ℓのディーゼル・エンジンのトルクは38.3kg-mという数値ではあるものの、2000rpmより少し上で発生させるために、スタート時の出足は残念ながらその数字に期待するほどではない。

しかしながら決して期待外れなわけではない。アクセルを踏み込んで行けばキビキビとした走りを披露する上に、荷物を満載したとしても決して走りが悪くならないという ‘プジョーらしさ’ はしっかりと引き継がれている。走るペースを上げてもクルマの振る舞いは良いままで、週末に家族で外出する際は自然とその行動半径も広まっていきそうだ。

乗り心地は荒れた路面を走っても快適と評される分類であり、2.0ℓのエンジン・ノイズも小さくしっかりと制御されている。つまりこのクルマは良い方向に進化し、出来がよくて快適だということである。

また低くセットされたステアリングにナビの配置はプジョー208からの踏襲で非常に上手くまとめられている。

コクピットで注目すべきは7インチのスクリーンに機能が集約され多くのボタンが姿を消したことだ。これは一見シンプルになったとも評価できるが、ほんの少し温度を調整したい時にわざわざ機能の中の項目から並んで選択していくのは、ただツマミを捻ればいい動作より明らかに手間がかかるものだ。

■「買い」か?

もしあなたが絶対的なスペースに興味を示すならばスコダ・オクタビアも忘れてはならない。荷室容量ではプジョーだが、後席のスペースはスコダに軍配が上がる。

しかしプジョー308SWには放っておけない要素が多く、魅力的なデザインのインテリアや品の良さ、スタイリッシュな外観に加えて先代からの大幅な改善点が魅力である。2.0ℓディーゼル・エンジンを選択すれば経済性も優れていながら動力性能に決して不満もない。

外見を引き締めるパノラマルーフは絶対欲しい装備の一つであり、加えてパワートレインやステアリング・フィールを向上させるお馴染みのスポーツ・パッケージもあるが、これは6万5千円の(£375)の追加料金が必要なことを付け加えておこう。

(リチャード・ブレムナー)

プジョー308SWアルーレ2.0ブルーHDi 150

価格 £22,545(395万円)
最高速度 215km/h
0-100km/h加速 9.8秒
燃費 25.0km/ℓ
CO2排出量 105g/km
乾燥重量 1315kg
エンジン 直列4気筒1997ccターボ・ディーゼル
最高出力 150ps/3750rpm
最大トルク 38.3kg-m/2000rpm
ギアボックス 6速マニュアル

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