前年比2倍も売れた! 急速にEVシフトが進む背景 日本はどうなる?
公開 : 2022.05.26 05:45
販売増の背景には「中国」
2010年代初頭、IEAはもちろんのこと、さまざまな団体や企業が、EVの普及について予想を立てていた。
その振れ幅は極めて大きく、中には2010年代半ばから右肩上がりになるという予想もあれば、2030年近くまではハイブリッド車とプラグインハイブリッド車が主流でEVはまだ少数派というものまでさまざまだった。
では、さらに詳しく国や地域別でEV市場の動きを振り返ってみる。
最も大きな影響力を持ってきたのが、アメリカのカリフォルニア州だった。
1990年に施行されたZEV(ゼロエミッションヴィークル)規制法が、世界で唯一のEVに係る大規模な規制だった。
こうした状況が2000年代後半から変化していく。
中国の民主化政策により自動車の生産と販売が急激に伸び、それと同時に次世代車開発に対して中国政府が注力し始めたからだ。
そうした中、中国政府は上海万博や北京五輪などの国際イベントの開催と連動するかたちで、中国全土でまずは商用車や公共バスでのEV普及政策を実施した。
だが、結果的に普及台数が当初目標に達しない地域が多かったことなどから、この政策は事実上、終焉する。
これと並行するように、中国政府はアメリカ自動車技術会やカリフォルニア州政府と、中国版ZEV法に関する研究を進めていった……。
これから日本はどう出る?
それが現在のNEV(新エネルギー車)規制となった。
購入補助金制度や、ベンチャーへのEV関連事業への後押しを強化したのだ。
ここで、話をIEAの報告書に戻すと、2021年のグローバルでEV/プラグインハイブリッド車販売総数660万台のうちの半数の330万台は中国である。
さらに、欧州では前年比65%増の230万台となったが、これは欧州委員会が推奨する欧州グリーンディール政策による影響である。
つまり、中国と欧州だけで560万台に達しているのだ。
残りの100万台のうち、アメリカが63万台。
前述のZEV法に加えて、バイデン大統領が2021年8月、2030年を見据えたEVなど電動車普及に対する大統領令を発令したことが大きく影響した。
このように、EV販売増の背景には、国や地域での規制が色濃い。
一方、日本では現状で、日本自動車工業会をはじめとして、ハイブリッド車、燃料電池車、水素燃料車、そしてカーボンニュートラル燃料の活用など、カーボンニュートラルに対して全方位体制を敷く戦略だ。
国として、EVシフトを強調する規制に踏み出す用意があるようには思えない。
果たして、中国や欧州が主導するEVシフトがさらに急激に拡大するのか?
それとも、日本の考え方が社会のコンセンサスを得るための「ベーターな解決方法」になるのだろうか?
今後のEV市場の動向を注視していきたい。