才色兼備なイタ車 ランチア・ベータ HPE/クーペ/スパイダー 英国版クラシック・ガイド 前編

公開 : 2022.06.12 07:05

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過去にランチアでメカニックをしていたという、スティーブ・ダッジ氏。走行距離の短いベータを入手して以来、ぞっこんだ。「19年間、ベータ・スパイダーを所有しています。このヴォルメックスも同時期に購入しましたが、走行距離は6万km足らずです」

「ほかにもS1のクーペとサルーンも所有しています。そちらは、1万6000km以下。ヴォルメックスのHPEもありますよ。まだ安かった時代に購入し、楽しんできました」

ランチア・ベータ・クーペ(1974〜1984年/英国仕様)
ランチア・ベータ・クーペ(1974〜1984年/英国仕様)

「スパイダーを買った金額は700ポンドだったと記憶しています。最初の車検は問題なく通りました。現在は徹底的にレストアしている途中で、90%くらい仕上がっています」

「価格の高騰はあまり歓迎しませんね。ベータに乗るのが好きで、妻のアマンダと地元でオーナーズクラブのミーティングを定期的に開いています」

「ボンネットを強く叩くと、プラスティック製のクリップが割れることがあります。VXのレカロシートのロゴや、ウインドウ周辺の黒い塗装を磨きすぎると、傷んでしまうので要注意です」

「英国にはベータの部品を販売している専門ショップがあり、殆どのものが購入可能です。スーパーチャージャーのベアリングも1度入手困難になりましたが、そこが再制作してくれました」

英国で掘り出し物を発見

ランチア・ベータ HPE 1600

登録:1981年 走行:2万6561km 価格:1万3500ユーロ(約182万円)

イタリアから英国へやって来たHPE。1979年からベータという名称が省かれ、H.P.エグゼクティブと呼ばれるようになった世代の1台。スチールホイールにシングルミラー、ウェーバー・キャブレターという質素な1600だが、状態は良いという。

ランチア・ベータ HPE 1600(1981年/欧州仕様)
ランチア・ベータ HPE 1600(1981年/欧州仕様)

コンクール・コンディションと売り主は説明するものの、エンジンルーム内の仕上げは必要とのこと。インテリアのクロスの状態は素晴らしい。走行距離は短く、このコンディションでこの価格は珍しいだろう。

ランチア・ベータ・クーペ 1600

登録:1981年 走行:13万5100km 価格:6500ポンド(約104万円)

売り手によると、状態は改善できる余地があるとのことだが、見た目の良いベータ1600だ。グレーのインテリアはきれいに保たれ、ステンレス製のバンパーも艶がある。レッドのボディも美しい。

タイミングベルトは約1500km前に交換されたばかりで、走りは良好とのこと。その時点でメカニズムも整備されている。ボディにはいくつかサビが見られるようだが、気兼ねなく乗れる状態の良いベータをお探しなら、格好といえる1台だろう。

中古車購入時の注意点などは後編にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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