ホンダ新型「ステップワゴン」 価格/納期は? テストコースで乗って走って、分かったこと

公開 : 2022.05.26 05:35

変わる、3列目シートの位置づけ

ところで、ミニバンにとっては室内のパッケージングや快適性が重要となる。が、3列目シートに座って、何の罰ゲームか、と思ったことが幾度となくある。

“閉所恐怖症”で“乗り物酔いしやすい”という最悪の条件を備える個人的事情もあるとは思うが、イベント時の移動などでミニバンが用意された際も、私に限らず、やはり率先して3列目に乗りたがる人はほぼ見かけない。

3列目シートの座面が高いことが分かるカットモデル。注目は、フロント~サイドまで、ウインドウのベルトラインが水平な一直線でつながっていること。ウインドウ上部も同様に水平なラインでつながる。
3列目シートの座面が高いことが分かるカットモデル。注目は、フロント~サイドまで、ウインドウのベルトラインが水平な一直線でつながっていること。ウインドウ上部も同様に水平なラインでつながる。    前田惠介

そもそもスペースが狭く、前方視界も悪く閉塞感この上ない。

さらに、リアタイヤの真上に座っているからゴロゴロうるさいし、乗り心地も悪い。というのが車種問わずミニバン3列目シートの基本的印象だ。

しかし、朗報が!

今回のステップワゴン、3列目を含む室内空間の快適性が格段に向上している。

まず、乗り物酔いしにくい工夫がなされている。何ともユニークなアピールだが、乗員にとっては重要なポイントだ。

テストコース試乗 視界/乗り心地

フロントウインドウの上下部は水平なラインで、そこから左右に伸びるように、3列目シートまで、サイドウインドウが直線的なラインで囲まれている。

クルマの揺れによって酔うわけだが、人間には、水平なラインを見ると三半規管を補正する機能が備わっているそうだ。そしてこの視界確保のパッケージは、ただ今特許申請中とのこと。

新型ステップワゴン・エアの3列目シートからの眺め。
新型ステップワゴン・エアの3列目シートからの眺め。    前田惠介

シートアレンジもホンダの得意とするところだが、2列目シートが前後にロングスライドするだけでなく左右にも動き、カップルディスタンスも変えられる。

3列目シートが床下に収まりフラットなフロアになるのは従来のまま。

そして、3列目に座った時、ヒップポイントが1・2列目より高く、2列目シートの形状、さらには一番視界を遮っていたヘッドレストの形状も変えることで、開放的になった。

シートクッションの厚みも増しており、座り心地も良くなっている。

3列目はどうだった?

今回、ワクワクゲートはなくなり、通常のリアゲートが採用された。それにより、軽量化が図れたので消音材を入れることができ、3列目は静粛性も高まったのだ。

限られた環境ではあるが、新旧モデルの違いを実際に走行する中で各列シートに座って確認した。

ステップワゴン・エア(FF)のボディサイズは、全長4800×全幅1750×全高1840mm。なお新型のガソリンエンジン仕様の燃費は13.1km/L~13.9km/L。e:HEV仕様は19.5km/L~20.0km/L。
ステップワゴン・エア(FF)のボディサイズは、全長4800×全幅1750×全高1840mm。なお新型のガソリンエンジン仕様の燃費は13.1km/L~13.9km/L。e:HEV仕様は19.5km/L~20.0km/L。    前田惠介

中でもやはり3列目の快適性は格段に向上している。ドライバーとの会話も普通にできる静粛性の高さ。

ちなみに、マイクも設定されているが、80km/hまでは必要ないことを確認。視界の良さに加え、ボディもしっかりしているのでヨーの遅れによる“酔いそう”な動きも感じられない。

もう、3列目が罰ゲームだなんて言いません。

そして、ドライバーにとっても塊感のあるボディは運転しやすく、トレッドを広げながらも最小回転半径5.4m(エア/スパーダ:ライバルより0.1m小さい)という取り回しの良さも確認できた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    佐藤久実

    Kumi Sato

    大学在学中にレースデビューし、耐久レースをメインに活動。ニュルブルクリンク24時間レース、スパ・フランコルシャン24時間レースで入賞を果たす。モータースポーツで培ったスキルをベースにインストラクターとしても活動。東海大学工学部動力機械工学科非常勤講師、芝浦工業大学特別講師の経験あり。日本カー・オブ・ザ・イヤー、World Car Awards、日本ボート・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)

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