スーパーカーの概念を一変 ホンダNSX(初代) V6 VTECをミドシップ 英国版中古車ガイド
公開 : 2022.06.01 08:25
スーパーカーを日常に近づけた初代NSX。ホンダというブランドも輝かせた傑作を、英国編集部が振り返ります。
もくじ
ー既成概念を打ち破ったスーパーカー
ーボディもV6 VTECエンジンもアルミ製
ーホンダ・ブランドを強く輝かせたNSX
ー新車時代のAUTOCARの評価は
ー購入時に気をつけたいポイント
ー専門家の意見を聞いてみる
ー英国ではいくら払うべき?
既成概念を打ち破ったスーパーカー
自分はスーパーカーとは無関係だ、とお考えの読者も多いと思う。確かに、試乗記などで紹介される高額の最新モデルは、別の世界の乗り物に思えてしまうことも理解はできる。
実際、現実の道路環境では、ベーシックなフォルクスワーゲン・ゴルフでも、スーパーカーと大きくは違わない時間で目的地へ到着できる。運転する喜びは、手頃なマツダMX-5(ロードスター)でも不足なく得られる。
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオやテスラ・モデル3 パフォーマンスでも、感動するような動力性能を堪能できる。そのいずれも、価格が法外ということはない。
しかし、そんな人でも初代ホンダNSXなら身近に感じられるのではないだろうか。30年以上前に、われわれの既成概念を打ち破ってくれた、日本生まれのスーパーカーだ。多くの自動車メーカーへ、小さくない影響を与えた傑作だ。
NSX登場以前のスーパーカーは、運転しにくかった。ドライビングポジションは不自然で、トランスミッションは扱いにくく、パワフルなエンジンも気分屋だった。
週末の街なかで、くさび形のシルエットを目にすることができれば、ラッキーと思えた時代だった。だが、そんなクルマでロードサービスの助けを借りずに長距離旅行を終えることができれば、ラッキーな時代でもあった。
ボディもV6 VTECエンジンもアルミ製
アルミ製ボディのNSXが際立っていたポイントは数多い。運転席からの視界に優れ、市街地でも運転が簡単で、一般道でもパワートレインは素直だった。長距離を運転しても、故障を心配する必要もなかった。
所有する喜びだけでなく、現実世界で運転する喜びを与えてくれたスーパーカーだった。そんな初代NSXの発売は、1990年にさかのぼる。
軽いボディの中央に、初期型は高回転型のオールアルミ製3.0L V型6気筒エンジンを搭載。可変バルブタイミング機構、VTECが採用され、鋭いレスポンスを実現していた。自然吸気ながら最高出力280psを発揮し、0-100km/h加速5.5秒の能力を備えていた。
トランスミッションは、滑らかに変速できる5速マニュアルと、4速オートマティックから選択が可能。最高速度は257km/hが主張された。
当初はクーペだけだったが、1995年にタルガルーフのタイプTが登場。1997年には大きなマイナーチェンジを受け、V6エンジンは3.2Lへ拡大。6速MTが組まれるようになっている。
2001年末にはトレードマークの1つだったリトラクタブル・ヘッドライトが廃止され、固定式に。145kg軽量化され、専用のステアリングやサスペンションなどが与えられた、NSX-Rも発売された。多くの改良が加えられながら、2005年まで生産は続いた。