スーパーカーの概念を一変 ホンダNSX(初代) V6 VTECをミドシップ 英国版中古車ガイド
公開 : 2022.06.01 08:25
ホンダ・ブランドを強く輝かせたNSX
4速ATのギア比に不満が出たことも事実だが、どのNSXを選んでも、スリリングなドライビング体験は共通している。タルガルーフなら、オープンエアも楽しめる。
技術的にも先進的で、素晴らしい操縦性にその成果が表れていた。特に強固なアルミ製シャシーは、革新的なものだった。サスペンションのウイッシュボーンもアルミ製で、コンロッドにはチタンが用いられるなど、通常のホンダとは一線を画す成り立ちだった。
熟成された、優雅なスーパーカーといえた。多くの競合メーカーに刺激を与え、ホンダというブランドを強く輝かせる存在でもあった。
信頼性に定評のあるホンダだけに、同年代の高性能モデルとは異なり、30年後にオーナーになっても面倒なトラブルに悩まされる可能性は低い。ただし、価値が認められ近年は価格も上昇傾向にある。思い立ったのなら、実行は早い方が良いだろう。
新車時代のAUTOCARの評価は
速くてスタイリッシュ。NSXには欧州のスーパーカーへ挑戦するために必要な、すべてが揃っている。ドライビングポジションに優れ、運転席からの視界も素晴らしい。
トルクが不足気味で、静止加速や中間加速はややもの足りないものの、フェラーリ348より最高速度は上回る。優れたエンジンとレスポンスの良いシャシーが組み合された、刺激的なドライビングマシンだ。しかも安定性も高い。
NSXは、多くの条件でフェラーリを打ち負かすことができる、現実世界のスーパーカーといえるだろう。(1990年12月19日)
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
しっかり整備されてきたかどうか、履歴を見て確かめたい。エンジンオイル漏れは珍しくない。バルブカバー・ガスケットやシール、ソレノイド付近が湿っていないか確かめる。
VTECがカムを切り替える際、異音が出ないか確かめたい。滑らかに動き、エンジンの温度に関わらず通常はノイズを出さない。
タイミングベルトとプーリー、ウォーターポンプは、英国では11万2000km毎の交換が指定されていた。リザーバータンクなどからのクーラント漏れにも注意したい。
トランスミッション
MTのクラッチは約8万km使える。ニュートラルの状態でクラッチペダルを踏み込むと、インプットシャフト・ベアリングからノイズが出ていないか確認できる。
1992年式までのNSXでは、シフトレバーに緩みが出たり、トランスミッションからノイズが生じることがある。走行中にシフトが抜ける場合は、スナップリングやサークリップの劣化かもしれない。可能なら購入は避けたいところだ。
サスペンションとブレーキ
サスペンションは耐久性に優れるが、アルミ製のウイッシュボーンは衝撃に弱い。交換部品も高い。ブッシュやボールジョイント、ベアリングなどは、サーキット走行を重ねると傷みも早い。タイヤが偏摩耗している場合は、アライメントが狂っている証拠。
エンジンスタート時にABSユニットからうなりが聞こえるが、正常ならすぐに収まる。ブレーキディスクは、5万km程は使えるだろう。
ボディ
アルミ製ボディは安く修復できない。フロントバンパーは樹脂製だが、こちらも高価。アルミは加工が難しく、技術が求められる。パテ盛りや部分的な塗装が施されていないか、良く観察したい。
ボディパネルやドアの隙間は、きれいに揃っているのが正解。フロントガラス周辺など、ラバーモールの状態もチェックポイント。可能ならカーペットなどをめくり、ボディの接合部分を観察したい。
電気系統とインテリア
初期のステレオユニットは故障しやすい。社外品への交換は簡単ではないようだ。センターコンソールは樹脂にゴムコーティングされているが、擦れて剥がれてくる。パワーウインドウのレギュレータは故障しがち。ドアハンドルの状態も確かめたい。
エアコンが正常に機能しているか確認する。タルガルーフの場合、取り外せるパネルの状態を確かめる。走行距離が長いほど、シートのサイドサポート部分は磨り減る。