英国最古の老舗メーカー、モーガン 生産台数「倍増」目指す 若者を取り込む新事業戦略とは

公開 : 2022.05.27 06:05

さまざまな課題 ブランド価値守れるか

1つ目の課題は、モーガンに第3のモデルが必要かどうか、あるいはいつごろ必要になるかを見定めること。現在、プラス・フォーとプラス・シックスは、その類似性から1つのモデルとして分類されている。

2つ目は、EV時代に向けた新たなパートナーシップの構築と、BMWとのエンジン供給契約など既存の提携関係の見直しである。

スティーブ・モリス会長とマッシモ・フマローラCEO
スティーブ・モリス会長とマッシモ・フマローラCEO

3つ目は、いつどのように電動化に移行し、米国や一部の極東地域など変化の遅い市場向けにいつまでICEモデルを製造するのか、ということであろう。モーガンはすでに、既存モデルの電動化をほのめかす発言をしているが、ハイブリッド化とEV化のどちらを検討しているのかは明らかでない。モーガンは最近、最高技術責任者(CTO)としてマシュー・ホール氏を採用し、新しい電動化部門のトップに据えている。

フマローラはさまざまな会社を渡り歩いてきたが、これまでもずっとモーガンが大好きだったそうだ。「モーガンの一番好きなところは、クルマがオーナーの生活の質を大きく向上させてくれるところです」と彼は言う。

「ビッグブランドには、どこかよそよそしいところがあります。素晴らしいクルマを持っていても、誰もがそのクルマについて話せるわけではありません。モーガンに乗っていれば、誰も距離を置く必要はないのです。当社のクルマを運転することで、喜び、自由、友情、そして楽しさを得ることができます」

デザインにも大きな変化?

モリスとフマローラがせっせと設計しているモーガンの未来計画には、4年前にその概略が明らかにされた「新時代」モデルも含まれているようだ。

ジョン・ウェルズ率いるデザインチームが構想したこのモデルは、デザインの時代性を従来より20年ほど進めて、ジャガーEタイプのような1960年代のスタイルへと移行させるものだ。

モーガンの「新時代モデル」のスケッチ
モーガンの「新時代モデル」のスケッチ

当初、このモデルはプラス・フォーやプラス・シックスと同じアルミニウム製「CX」プラットフォームを採用するとされた。2025年頃に登場し、価格はアストン マーティンヴァンテージに近いとも言われていた。

しかし、時代は変わった。このモデルはEVとして登場し、高騰するバッテリー価格に見合った新しい価格体系を導入するというのが現実的なシナリオだろう。今のところ、モーガンはこのプロジェクトについて口を閉ざしており、スーパー3を最優先すると明言している。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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