実はマセラティMC20と同じインフォテインメント フィアット500e 長期テスト(3)

公開 : 2022.06.11 09:45

かわいいカタチのフィアット500が純EVに。日本導入も始まった最新ハッチバックを、長期テストで検証します。

積算3226km ステアリングホイール裏のボタン

フィアット500eのステアリングホイールの裏側には、便利なボタンが付いている。前を向いたまま、ラジオの選曲やボリュームを変えることができる。

反面、回生ブレーキの強さを走行中に素早く変えることはできない。このボタンの位置は、その機能に理想的だと思うのだが。変更するには視線を移し、センターコンソールを操作する必要がある。

フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)
フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)

積算3678km ウオールボックスは便利

筆者は先週、英国国内で一般的な3ピン・コンセントを500eにつないでみた。好奇心を持ったからだ。クルマに充電ケーブルは標準装備されている。

肝心の充電時間だが、残量40%から100%まで17時間が必要だと表示された。7kWの充電容量を持つウオールボックスなら3時間で済むから、遥かに便利といえる。

フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)
フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)

積算4089km MC20と同じインフォテインメント

フィアット製の小さな電気自動車は、最高出力630psのV6ツインターボ・エンジンをカーボンファイバー製タブに搭載した、スーパーカーと何か共通点があるだろうか。マセラティMC20のことだ。

筆者は先日、その新しいマセラティへ試乗する機会があったのだが、インフォテインメント・システムはフィアット500eと共通のようだった。これまでの経験からすると、操作しやすく、入力に対する反応も素早く、とても良いシステムだと思う。

フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)
フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)

だが、イタリア製のクルマや電化製品には小さなつまずきも付きもの。これまでに500eのシステムでは、距離の単位が2度リセットされている。気付くとMPH(マイル)ではなく、km/h表示になっていた。

ドアをロックする度にホーンを鳴らすという機能も、勝手にオンになったことがある。流石に、これは早朝や深夜のアイドリングと同じくらい近所迷惑だ。マセラティのV6エンジンより、静かな純EVの方が好まれることも間違いないけれど。

インフォテインメント・システムの一部の設定が、リセットされる理由は定かではない。何度かタッチモニターへ触れれば戻せるものの、その必要はない方が良い。

オフィスからの帰り道の小さな失敗

先日、筆者は500eでちょっとした失敗をしてしまった。別の同僚がクルマを借りた後、AUTOCAR英国編集部のオフィスで充電器につないだものの、彼の操作ミスで充電されていなかったのだ。

それに気づかず週末の家路へついてしまい、残りの航続距離が60kmもないと知ったのは、走行後しばらく経ってから。少し焦ってしまった。

フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)
フィアット500e 42kWh アイコン(英国仕様)

電力消費を可能な限り抑えるシェルパモードにすれば、加速力と最高速度が制限され、エアコンがオフになり、走れる距離を伸ばしてくれる。そうすれば、自宅近くの充電器へ辿り着くことはできそうだった。

しかし、せっかくなので途中にあるソース・ロンドンと呼ばれる充電器を試すことにした。この危機的状況を活かすべく。

記事に関わった人々

  • 執筆

    トム・モーガン・フリーランダー

    Tom Morgan-Freelander

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト フィアット500eの前後関係

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