メルセデスAMG F1エンジン搭載の新型ハイパーカー公開 史上最速ハイブリッドマシン

公開 : 2022.06.01 20:05  更新 : 2022.06.01 20:14

F1用エンジンに電気モーター4基搭載

縦置きに搭載されたV6エンジンは、メルセデスが8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得したF1エンジンの改良型だ。最高出力は574ps/9000rpmで、レッドラインは1万1000rpm。排ガス規制をクリアするため、電気加熱式触媒とガソリン微粒子フィルター、そしてチタン製のリアサイレンサーが採用されている。

4基の電気モーターには、F1マシンの技術がふんだんに盛り込まれている。出力123psのモーターはターボチャージャーと電動コンプレッサーの間のシャフトに、163psのモーターはエンジン上に配置され、ドライブシャフトに接続されている。さらに163psのモーター2基がフロントアクスルに内蔵されている。

メルセデスAMGワン
メルセデスAMGワン    メルセデスAMG

合計出力は1063psで、これまでで最もパワフルな市販モデルであるGTブラックシリーズよりも333ps高い。アストン マーティン・ヴァルキリーの1176psや、フェラーリSF90ストラダーレの1000psと近い数値だ。

メルセデスAMGは、「ドライブトレインの複雑な性質上、代表的な数値を示すことができない」とし、トルクを公開していない。しかし、0-100km/hは加速2.9秒、0-200km/h加速7.0秒、0-300km/h加速15.6秒と謳っている。トランスミッションは、シフトパドル付きの新開発の7速自動AMTを採用。

走行モードは6種類。「レースセーフ」、「レース」、「EV」、「インディビジュアル」、「レースプラス」、「ストラット2」で、最後の2つはサーキット走行用として用意されている。

レースセーフモードは、オンデマンドのハイブリッド駆動。レースモードでは、エンジンが常に作動し、バッテリーの充電に使用される。EVは電気のみで走行するモードだ。

レースプラスモードでは、リアウイングを所定の角度で展開しダウンフォースを増加させるエアロ機能、サスペンションのローダウン、パワートレインの「スペシャル・パフォーマンス・マネージメント」を行う。

ストラット2(F1マシンの「ストラテジー2」モードに由来)は、エアロやサスペンションチューン、パワーマネジメントを最も過激なものとし、フルパワーを発揮する。

サーキット走行に特化したインテリア

足回りもレース仕様だ。四輪に5リンク式のプッシュロッド・サスペンション、横置きダンパー、アジャスタブルストラット、セラミック製ボールベアリング(従来はスチール製)を採用している。

また、電子制御トラクションコントロールシステムは、9段階以上の設定が可能とされている。

メルセデスAMGワン
メルセデスAMGワン    メルセデスAMG

インテリアは、合成皮革とカーボンファイバーのコンビネーション。薄型シートはモノコックのフロアに直接取り付けられており、ドライバーとパッセンジャーは非常に低い位置に座り、腰が足よりも低い姿勢になる。

F1スタイルのステアリングホイールには、シフトランプとドライビングモード、トラクションコントロール、リアウィングのコントローラーが装備され、エアバッグも内蔵されている。

エアコンと電動ウィンドウは標準装備で、デジタルバックミラーにより後方視界を確保。中央の収納スペースには、2つのUSB-Cポートが設置されている。ペダルボックスには十分な調整幅が設けられた。

荷物を運ぶための設備はないが、小さな荷物であればシートの後ろとセンターコンソールの上に収納することができる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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