2座のGRカローラ 社長の愛称を冠した「モリゾウエディション」登場 GRで何が起きている?

公開 : 2022.06.01 22:15

なぜモリゾウ? 限定車の変更点

そもそも豊田社長の愛称を冠した限定車「モリゾウエディション」は、なぜこのような車名になったのか。

モリゾウの名を使うことについては、意外にも社内で議論が生じることがなかったという。GRカンパニーを基点としたクルマ作り、豊田社長の号令で作り込んだクルマという意味でこの名称になったようだ。

GRカローラ・モリゾウエディション(プロトタイプ/限定色:マットスティール)
GRカローラ・モリゾウエディション(プロトタイプ/限定色:マットスティール)    宮澤佳久

そんなモリゾウエディションの変更点を、GRカローラRZと比較してリストアップしておこう。

・リアシートを撤去し約30kg軽量化
・最大トルクを37.7kg-mから40.8kg-mへ向上
・構造用接着剤3.3m追加/補強ブレース追加
・ディファレンシャルギアのローギアード化
・1~3速のクロスギアレシオ化
・10mm拡幅したタイヤ(235→245)
・専用セミバケットシートの採用

中回転域のトルクを高めることで加速性能を高め、コーナリング時の安定性/ブレーキ性能を向上させている。エンジニア陣によれば富士スピードウェイで2分を切るラップを記録するという。

今週末に開催されるスーパー耐久「富士スーパーテック24時間レース」にも、このクルマのトピックがある。

これまでカローラスポーツをベースにした水素エンジン車で参戦してきたが、このレースから、マシンのエクステリアがGRカローラに変わり、シーズンを通して空力性能を極めていくという。

実は、GRカローラの意匠に変えたところ、コーナリングスピードを維持したまま、トップスピードが5km/hくらい増えたそうだ。

「今後は、(参戦によって)発生したパーツなどをお客様に届けていけるといい」と前述の坂本尚之チーフエンジニアは語る。

GRカンパニーの取り組みを象徴するように生まれたGRカローラとモリゾウエディションは、レースで培ったクルマ作りのノウハウがトヨタに浸透していく様子を現在進行形で体験できるモデルになりそうだ。

GRカローラ 日本仕様スペック

GRカローラの日本仕様「GRカローラRZ」のスペックは下記のとおり。カッコ内はモリゾウエディションの開発目標値となっている。

価格や発売日は今後明らかにされる。

GRカローラ・モリゾウエディション(プロトタイプ/内装色:ブラック)
GRカローラ・モリゾウエディション(プロトタイプ/内装色:ブラック)    宮澤佳久

全長×全幅×全高:4410×1850×1480(1475)mm
ホイールベース:2640mm
トレッド前:1590mm
トレッド後:1620mm
車両重量:1470kg(1440kg)
エンジン:1618cc直3ターボ
最高出力:304ps/6500rpm
最大トルク:37.7kg-m/3000-5550rpm(40.8kg-m/3250-4600rpm)
トランスミッション:6速マニュアル
駆動方式:電子制御多板クラッチ式4WD
差動装置:前後ともにトルセンLSD
サスペンション前:マクファーソンストラット式(倒立モノチューブアブソーバー)
サスペンション後:ダブルウィッシュボーン式(モノチューブアブソーバー)
タイヤサイズ:235/40R18(245/40R18)
乗車定員:5名(2名)

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。
  • 撮影

    宮澤佳久

    Yoshihisa Miyazawa

    1963年生まれ。日大芸術学部写真学科を卒業後、スタジオ、個人写真家の助手を経て、1989年に独立。人物撮影を中心に、雑誌/広告/カタログ/ウェブ媒体などで撮影。大のクルマ好きでありながら、仕事柄、荷物が多く積める実用車ばかり乗り継いできた。遅咲きデビューの自動車専門誌。多様な被写体を撮ってきた経験を活かしつつ、老体に鞭を打ち日々奮闘中。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事