個性で魅了する上級サルーン シトロエンC6 英国版中古車ガイド 複雑なハイドロにご注意
公開 : 2022.06.18 08:25
いつの時代も独特の個性でアピールしてくるシトロエン。ハイドロ搭載の上級サルーンを、英国編集部がご紹介します。
もくじ
ーコレクターズ・モデル化しつつあるC6
ーボディを眺めているだけで喜びに浸れる
ーユーロNCAPで5つ星の安全性も
ー専門家の意見を聞いてみる
ー購入時に気をつけたいポイント
ー新車時代のAUTOCARの評価は
ー知っておくべきこと
ー英国ではいくら払うべき?
コレクターズ・モデル化しつつあるC6
少し前までのシトロエンは、今以上に素晴らしかった。ステランティス・グループの一員として、近年は順調に成長しているとしても。
革新的で急進的で、スタイリッシュ。戦後間もない頃のシトロエンの多くは特に、心に訴えてくるような独特の魅力が備わっていた。ただし、最新のモデルを否定するつもりはまったくない。
何しろ、普段使いのクルマとして乗り回すには、ある程度のブランドへの理解と知識が必要だった。流行りのSUVを残価設定プランで乗るのと同じ気軽さで、維持できるわけではなかった。
実際、あまり良くないイメージもつきまとっていた。機械的な複雑さと、それに伴う不確かな信頼性、低い中古車価格などが、その原因といえた。だからこそ、ひと昔前にシトロエンC6を新車で買った勇気あるファンを讃えたい。
英国では2005年から2012年にかけて販売されたC6だったが、台数は1000台にも満たない。現役時代から珍しい存在といえ、最近はコレクターズ・モデル化しつつある。
そんなシトロエンC6のオーナーになれば、セルフレベリング機能付きのハイドロニューマチック・サスペンションの滑らかさを堪能できる。ハイドラクティブ3+と呼ばれる当時の最新版で、3モードが選択できた。
前後左右へ緩やかにボディを揺らしながら、柔らかい枕のような乗り心地で移動できる。レザーがふんだんに用いられたインテリアは、現代芸術のようにエレガント。ドイツ勢とは一線を画す、独自性が貫かれている。
ボディを眺めているだけで喜びに浸れる
さらに、大胆にカーブを描くスタイリングは、往年の素晴らしいシトロエンを彷彿とするもの。駐車場に停めてボディを眺めているだけで、C6を買った、という喜びに浸っていられる。
長く低く、疑いようなく美しい。目を細めれば、DSやCXのシルエットと重なって見える。中央がくびれたリアウインドウは、見が目が斬新なだけではない。雨天時の高速走行でも視界を保つ、機能性も備わっている。
2005年の発表時にC6へ搭載されたエンジンは、3.0L V6ガソリンターボと、2.7L V6のディーゼルターボ。最高出力はそれぞれ218psと211psを発揮した。トランスミッションは、6速オートマティックが標準だった。
2007年になると、173psを発揮する2.2L 4気筒ディーゼル・ツインターボが登場。これには6速MTが組み合された。2009年には、240psの3.0L V6ディーゼルターボが2.7Lユニットと入れ替わり、選べるようになっている。
英国の場合、流通しているC6の殆どはディーゼルエンジンで、印象は滑らかに回転するものの実務的。日本とは異なり、ガソリンエンジン版を探すことは難しい。
走りは、スポーティという言葉とは無縁。ゆったりとした姿勢制御と身のこなしこそ、このクルマの信条。引き締まった質感を求めるなら、クラシックなシトロエンは最初から考えない方が良いだろう。