海外で30万km超の中古プリウスが増えているワケ 掘り出し物の過走行車を見つける方法とは

公開 : 2022.06.02 18:05

デメリットも踏まえた上で乗れば幸せになれるかも

そういえば、配車サービスのUberが「パートナードライバー」たちにプリウスを捨てて完全EVを選ぶよう奨励している(同社は2025年までにロンドン市内で排ガスゼロを目指す)ので、今後このハイブリッド車のパイオニアがクラシファイド広告に載ることが多くなるだろうと予想される。

地方当局のプライベートハイヤー・ライセンスの更新切れも、乗り換えを促進する要因の1つだ。

過走行車を見つけたとき、注意すべきところをクリアすれば「掘り出し物」となり得る。
過走行車を見つけたとき、注意すべきところをクリアすれば「掘り出し物」となり得る。

最近の発表では、申請日から5年以上前に新車登録された車両については、通常、新しいライセンスは交付されないという。さらに、初めてライセンスを取得する車両は、ユーロ6の排ガス規制を満たさなければならない。そして、10年以上前に登録された車両は、ライセンスが更新されない。

この規定はロンドンにも適用されている。ロンドン市内には約8万台のプライベートハイヤーが走っているが、そのうち3万台以上がプリウスと、圧倒的な支持を得ている。

このほかにも、ホンダのインサイトが1200台、レクサスのCTが1000台など、面白そうなハイブリッド車が首都圏を駆け回っている。これらを中古で手に入れるなら、過走行の可能性があるため、車検証や整備記録を確認すべきである。

過走行車を買うのは良いアイデアか?

過走行車について特別なことは何もない。ほとんどのクルマは、手入れをすれば30万km以上走ることができる。過走行車を熱烈に支持している人たちは、コストパフォーマンスが高く、製造時に発生したCO2から最大限の価値を引き出し、地球を救うのに役立つと主張する(もちろん、経年劣化による排出量の増加は無視される)。

しかし、ボルボメルセデス・ベンツでない限り、衝突安全性が低い、古いクルマであることが一般的だ。古いということは、新しいクルマよりも遅く、汚く、快適でないということでもある。とはいえ、走行距離の長いクルマを上手に走らせると、この世の中のシステムに勝ったような気分になるのは間違いないだろう。

過走行車の購入時に注意すべきこと

どんなクルマでも、道路を走る以上、走行距離は記録される。英国では「GOV.UK」というサイトで、MOT(車検)の記録をチェックすることができる。

個人から購入する際は、前の所有者にいろいろ質問するといいだろう。

メーターの改ざんは、車検証や整備記録、契約書などを確認すれば気付けるかもしれない。整備記録が保管されていない場合は、そもそも避けた方がいい。
メーターの改ざんは、車検証や整備記録、契約書などを確認すれば気付けるかもしれない。整備記録が保管されていない場合は、そもそも避けた方がいい。

「定期的に整備を受けてきた」などの主張は一旦無視し、すべての書類を精査して、定期点検や主要な整備を行った「証拠」を確認しよう。

エンジンやトランスミッションの不吉な音に耳を傾け、温度計をチェックし、油煙に注意しながら、冷間始動から徐々に温まっていく過程を観察しよう。

できるだけ長時間のテストドライブを行い、その性能を確認しよう。

豪華な仕様のクルマは、後々トラブルを招くだけなので、注意が必要だ。

トレーラーなどの牽引に使われていたクルマの場合、サスペンションやクラッチに問題がないか確認すること。

ボディの凹みや擦り傷にこだわらず、最も重要な錆びに注目しよう。

内装の傷みが激しいクルマは、交換にお金がかかるし、乗っていて気が滅入るので避けたほうが賢明だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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