クラシックカー価格急落? 海外で起きている「異変」のワケ 若い世代の興味はどこへ

公開 : 2022.06.04 17:45

若い世代への期待感

クラシックカー販売店バーチフィールド・クラシックスの共同設立者であるアンディ・ディアーデン氏も、これと同意見だ。彼は次のように話している。

「希少であったり、時代を超越していたり、ノスタルジーの感覚を呼び起こすことができるような特別なクルマでない限り、なかなか売れないでしょう。とはいえ、こうしたクルマが価格に見合うだけの価値があることを理解し、それを楽しむために購入しようと考える若い世代の消費者が現れてきているとわたしは信じています」

クラシックカーの世界でも消費者の世代交代は始まっているようだ。
クラシックカーの世界でも消費者の世代交代は始まっているようだ。

「例えば、わたしは最近、素晴らしいコンディションのオースチン・セブンをある夫婦に1万1500ポンド(約190万円)で売りました。彼らは田舎に古い家を買ったばかりで、天気のいい日に外に駐車したり、週末にドライブするための古いクルマが欲しかったのです」

ライトソン氏は、古い世代が引退していくことを受け入れながらも、ディアーデン氏と同様に、将来については楽観的である。彼はこう言っている。

フォード・コスワースやスバルインプレッサなど、自分の知っているクルマから旅を始めますが、その後、例えば古い911に乗っている人たちに出会って、新しい分野を開拓していくんです。今の世代が古いクルマに目覚めるまで、市場はひとまず小康状態にあります。でも、彼らはきっと目覚めてくれるでしょう」

ディアーデン氏は、そうした変化がすでに起こっていると考えている。

「週末にロンドンのキングスロードに行くと、1950年代や60年代のブリティッシュ・スポーツカーをたくさん見かけますよ。MGB、TR5や6、それにミニ・クーパーSも」

台頭する1990年代のネオクラシック

伝統的なクラシックカーの一部は安くなっているようだが、1990年代のいわゆる「ネオクラシック」は引き続き高価になっている。その筆頭がルノー5GTターボで、平均価格は過去2年間で93%上昇した。

964型ポルシェ911のような高価なコレクターズモデルでさえ20%上昇し、なおも上昇を続けている。

1990年代のクルマは再評価され、価値が上がり始めている。(赤は2020年、青が2022年のもの。価格単位は千ポンド)
1990年代のクルマは再評価され、価値が上がり始めている。(赤は2020年、青が2022年のもの。価格単位は千ポンド)    ハガティUK

ジョン・メイヘッド氏は、「1965年から1980年の間に生まれたX世代(ジェネレーションX)にすべてがかかっている」と語る。

「彼らは若い頃に夢見たクルマを求めているのです。ネオクラシックの多くは、現代のクルマと同じように走ることができ、メンテナンスもほとんど必要ありません」

それでも、アンディ・ディアーデン氏は、購入の際には注意が必要だとアドバイスする。

「人々が思っている以上に、多くのネオクラシックが存在します。そのため、最上級のもの以外は価格が下がる可能性があるので、あまり高値で買わないよう注意してください」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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