プレステージとスポーツの本質を究めるのならば「レンジローバー・スポーツSVR」が本命である理由 ジャパンSVエディション試乗

公開 : 2022.06.03 17:50  更新 : 2022.06.03 18:00

レンジローバー・スポーツSVRに、SVO専用デザインと、日本初導入のボディカラーを採用した限定車。ビスポークならではの仕立てと575馬力の走りを検証します。

SVOによる25台だけの限定車

すでに新型の話題が先行しているレンジローバー。ロイヤルワラント銘柄であることはつとに有名ながら、英国という成熟したお国柄を代表するプロダクトゆえ、従来シリーズでこそ成し遂げられる境地は確かにある。

それがビスポークオーダーやハイパフォーマンス化を専門に手がけるSVOこと「スペシャル・ビークル・オペレーションズ」であり、この部門を経て仕上げられた究極のモデルだ。

レンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディション(ロランジュ)
レンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディション(ロランジュ)    近藤浩之

今回試乗した「レンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディション」は、そうした仕様のひとつ。

日本市場のために本国のSVビスポーク・チームと話し合いを重ねて設定された専用ボディカラーをはじめ、内外装トリムに独自の仕立てを凝らした、たった25台の限定仕様だ。早い話が、日本だけに向けられた別注モデルという訳だ。

まずボディカラーのロランジュ(メタリック)は、派手なようで地味にも見える絶妙のニュアンス。

ドアを開けると足元には25台中のナンバリングを示すイルミネーション付きのメタルトレッドプレートが、またBピラーには「SV BESPOKE」のエンブレムが、さりげなく目に留まる。

イギリス式 内装の考え方

内装はエボニーとシーラスという柔らかなモノトーンと相まって、一部パーフォレーション仕立てのレザー内装が、モダンな雰囲気だ。ヘッドレストにも「SVR」の刺繍が入れられている。

確たる主張はあるが、ドアの開け閉めや乗降時の一瞬しか目につかず、常時主張しない、そんなところが英国式アンダーステイトメントの奥ゆかしさ、という訳だ。

レンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディションの前席(内装:エボニー/シーラスウインザーレザー)
レンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディションの前席(内装:エボニー/シーラスウインザーレザー)    近藤浩之

続いてSVRパフォーマンスシートに、身体を落ち着けてみる。

するとSUVらしく視線は高いが、ウィンザーレザーの滑らかなタッチ、スリークで薄い造りのバケットシートによる包み込まれ感は、やはり独特だ。

センターコンソールのアルミニウムも両サイドは磨かれているが、小物トレイのリッドやシフトコンソール周辺はヘアライン仕上げで、防眩仕様としつつ、指先に触感の細かな違いを伝えてくる。

いわば、クロームパーツなどのキラキラ演出で強調したラグジュアリー内装の背伸びとも、機能性一辺倒でミルスペックじみているか、スポーティたらんと頑張っている内装の力みとも、明らかに一線を画している。

いずれかの要素に偏らない、ひと言でいって華も実もあるインテリアで、「何か」になりたいのでなく、己を弁えているからこその余裕が、モダンな雰囲気や使い勝手に自然と表れているのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    南陽一浩

    Kazuhiro Nanyo

    1971年生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。ネコ・パブリッシングを経てフリーに。2001年渡仏。ランス・シャンパーニュ・アルデンヌ大学で修士号取得。2005年パリに移る。おもに自動車やファッション/旅や食/美術関連で日仏独の雑誌に寄稿。2台のルノー5と505、エグザンティア等を乗り継ぎ、2014年に帰国。愛車はC5世代のA6。AJAJ会員。
  • 撮影

    近藤浩之

    Hiroyuki Kondo

    某自動車雑誌を経てフリーに。2013年に(株)スカイピクチャー設立(とはいっても1人で活動)。仕事は写真/動画の撮影編集、たまに作文。対象はクルマを始め、建築/フード/人物など幅広いが、要は何でも屋の便利屋。苦手なことは、自分のプロフィールを自分で書くこと(要はこの文章)

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