プレステージとスポーツの本質を究めるのならば「レンジローバー・スポーツSVR」が本命である理由 ジャパンSVエディション試乗
公開 : 2022.06.03 17:50 更新 : 2022.06.03 18:00
後席の仕立てについて
上下2画面のワイドタッチスクリーンやメーターパネルと連携した、インフォテイメントの直観的なインターフェイスが、優れて使いやすいだけではない。
搭載されるメリディアンのオーディオ・システムは、後列シート側にも前列シートとほぼ同じ配置や仕様のスピーカー構成を実現しており、音像の定位や再生クオリティに差がない。
SVRパフォーマンスシートの座り心地と同じく、それだけ後列シート側も、大人を迎えて一緒に過ごすのにふさわしい空間へと仕上げられているのだ。
これはレンジローバーが後席に重きのあるリムジン的な一面のあるSUVだからというだけではない。
ハンティングのような野外でのスポーツが社交の一部であるからこそ、造り込んだディティールというより、嗜みとしてホスピタリティとして最初から組み込まれている、「そうあるべき仕立て」といえる。
加えてレンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディションで見逃せないのは、575ps/71.4kg-mを発揮する5.0LスーパーチャージドV8から繰り出される、圧倒的な動的クオリティだ。
パワフルなのに洗練 その理由
微低速から高速域まで車重2420kgもの巨躯をスムーズな吹け上がりで、しかも反応の鋭ささえ伴いつつ操らせてくれる。
怪力であることは確かだし、アクセルを強く踏み込めば野性味あふれるエグゾーストノートすら響かせるが、そのパワーフィールは粗暴さとは無縁で、むしろ洗練すら感じさせる。
この躾けの行き届いた名馬のような感覚を支える要素は、いくつか挙げられる。
まずセンターコンソール手元、ダイヤルが押し込まれている間は、駆動力配分もサスペンション減衰力も車高もすべて自動制御モードだが、ひと押ししてポップアップさせ回すことで、路面や走り方に応じたモード選択となる、可変シャシー&トラクション制御機構。
ノーマル・モードからエコ、ピッチ&ロールを抑えるスポーツ・モード、あるいは轍や氷雪路といったオフロードまで、指先ひとつでシームレスに操作できつつ、制御の違いが即座に体感できる。
この幅広い自由自在の走りを支えるのは、ストローク量が豊富で渋味のないリアのマルチリンク式サスに拠るところが大きい。
拡がるビスポークサービス
もちろん、オンロードでのハンドリングの小気味よさはカーボン製のボンネットやエンジンカバーなど、上モノの軽い仕立てと無縁ではない。
それでいて、これらのスペシャル・パーツは、ややフレアしたレンジローバー スポーツSVR特有のフロントフェンダーと精密にチリ合わせされつつ、渡河時にエンジンルームへの水の流れを防ぐ回路を確保するなど、設計からして丁寧に造り込まれている。
一事が万事とはいうが、無駄なく豊かなインテリジェンスによって、然るべき時間をかけて造られた1台、そこにSVO仕様の真骨頂を感じられるのだ。
ちなみに今回のレンジローバー・スポーツSVRジャパンSVエディションの限定25台の内、ロランジュ外装はたった8台のみ。だが日本で現在、顧客の要望をビスポークオーダーとして英国のSVOに繋いで実現する「SVスペシャリストセンター」は全国8拠点で展開しており、今後も拡張されていく。
英国車だからこそプレステージとスポーツの両面で妥協のない、ビスポークメイドの1台。今やそれは限定版が新たに登場するのを待つだけではなく、自らのタイミングや機会でも可能であり、ますますアクチュアルで身近なサービスになりつつあるのだ。