奇抜な3ドア・ミニバン ルノー・アヴァンタイム 素晴らしき「失敗作」の魅力に迫る

公開 : 2022.06.07 19:45

雨のあとは良い天気

「アヴァンタイム(Avantime)」の車名には、「先んじるもの」というような意味が込められている。なるほど、先鋭的なクルマにふさわしい。しかし、ルノーは、フレームレス・ウィンドウの密閉性を確保するのに果てしない苦労を重ね、そのために発売が遅れた。

本来なら「パス・アヴァンタイム(Pas Avantime)」と改名してもよかったかもしれない。だが、いずれにせよ、ルノーの計画より早くその生涯を閉じてしまう。

ルノー・アヴァンタイム
ルノー・アヴァンタイム

その奇抜さは大衆に受け入れられず、デビューからわずか2年、8552台を販売しただけで2003年に生産終了となってしまった。日本でも、2002年から2005年(在庫)にかけて、200台程度が販売されるにとどまった。

ある勇敢な英国人は、アヴァンタイムを9台も購入し、コンピュータ機器の配送や修理に使用したという。世界最大の保有台数ではないだろうか。この人物はどうやら他とは違うクルマが好きなようで、現在、彼の会社ではアヴァンタイムの代わりにBMW i3を走らせている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ブレンナー

    Richard Bremner

    英国編集部
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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