25年の進化を辿る ランドローバー・フリーランダー x ディスカバリー・スポーツ 後編

公開 : 2022.06.18 09:46

より身近なランドローバーだったフリーランダー。誕生25年を記念し、ディスカバリー・スポーツと英国編集部が乗り比べしました。

新しいライフスタイルへ見事に合致

初代ランドローバーフリーランダーはコンパクトでありながら空間効率に優れ、初代レンジローバーと同等の広さを実現していた。インテリアデザインは現代的で実用的。四輪駆動の機能性を損なうことなく、新しいライフスタイルへ見事に合致できていた。

発表時点でのボディスタイルは、3ドアと5ドアという2種類。長いストロークを持つコイルスプリングと、マクファーソン・ストラット式のサスペンションが、前後に採用されていた。

ダークブルーのランドローバー・フリーランダー 1.8iと、オレンジのランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e Rダイナミック SE
ダークブルーのランドローバー・フリーランダー 1.8iと、オレンジのランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e Rダイナミック SE

エントリーモデルとなったのが、3ドア。ボディ後半はキャンバス生地のソフトバックと、一般的なハッチバック風のハードバックから選択可能で、大きく傾斜したBピラーが特徴だった。その上に属したのが、ステーションワゴン風の5ドアだ。

エンジンは120psを発揮した1.8L 4気筒ガソリンのローバーKシリーズと、97psの2.0L直噴ディーゼルという2種類。トランスミッションは、英国では5速マニュアルか5速オートマティックが選べた。

筆者は初代のフリーランダーのほかに、2代目でも、かなりの距離を運転したことがある。それでも、今回の試乗は7年ぶり。

ダークブルーのフリーランダーは、量産が本格化する前に作られたプリ・プロダクションと呼ばれる43番目。当時のAUTOCARが初試乗した車両そのものだというから、特別な1台だ。

現在は、ランドローバーの従業員だったロン・ブラウン氏がオーナー。2016年に購入し、普段使いしている。タイヤが16インチの235/70へ若干大きくなっている以外、ほぼオリジナル状態だという。

ルーフやボンネットの形状で見える繋がり

最新のディスカバリー・スポーツと並ぶと、フリーランダーは何もかもが小さい。どこか子供の玩具っぽい雰囲気もあるが、それが愛おしくも感じられる。

ドアを開き運転席に座ると、ドライビングポジションは乗用車ライク。ダッシュボードの取り付け位置が低く、前方視界は良好。四角いメータークラスターが、フラットな面の上に載っている。

ランドローバー・フリーランダー 1.8i(1997〜2006年/英国仕様)
ランドローバー・フリーランダー 1.8i(1997〜2006年/英国仕様)

視点が高く、見晴らしは良い。郊外の傷んだ一般道へ足を進めると、100馬力ちょっとの4気筒ガソリンエンジンでも、1401kgと軽いボディを元気に走らせてくれる。

カーブへ侵入すると、現代的なモデルよりわずかにボディロールが大きい。シフトレバーの感触は、少しゴムっぽい。それでも25歳という車齢を強く感じさせることなく、個性の1つとして運転できる。

フリーランダーの初代と2代目、現行のディスカバリー・スポーツは、それぞれ異なる親会社のもとで開発された。BMWからフォード、タタへと、ランドローバーは転々としてきた。

開発に対するアプローチも異なったはずだが、リアが1段高くなったステップドルーフや、クラムシェル・ボンネットなど、3台の見た目には共通点がある。製造品質は、驚くほど向上してもいる。

オレンジ色のディスカバリー・スポーツは、フリーランダーより全高が若干低い。反面、全幅は間違いなく広く、全長も長い。とはいえ、2台を並べると血縁関係をしっかり見て取れる。モデルとしての繋がりがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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