BMWかロールス・ロイスで選べるV8 ベントレー・アルナージ 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.06.29 08:25

新車時代のAUTOCARの評価は

プッシュロッドでバルブを動かすV8エンジンが、ベントレーに搭載されてから48年。それでもアルナージは、0-97km/h加速を5.5秒でこなし、最高速度は288km/hに達する。クラシックだと感じることはまったくない。

ビッグ・ベントレーは滑らかに、忠実に走る。2500kgある車重が長所として活かされている。直進性も素晴らしく、極めて正確にラインを辿れる。狭い道でも、タイトなコーナーでも、狙い通りだ。

ベントレー・アルナージ(1998〜2009年/英国仕様)
ベントレー・アルナージ(1998〜2009年/英国仕様)

インテリアの仕立ても素晴らしい。高めのドライビングポジションから、周囲を不足なく見渡すことができる。(2006年9月1日)

専門家の意見を聞いてみる

ナイジェル・サンデル氏

「アルナージの欠点を生んでいる原因は、工場が生産を開始した当初、充分な資金力がなかったこと。基本的なDNAはBMWに通じています。古いベントレーやロールスロイスとは異なり、従来の知識などは通用しません」

ベントレー・アルナージ(1998〜2009年/英国仕様)
ベントレー・アルナージ(1998〜2009年/英国仕様)

「近年は部品の入手も困難になりつつあり、メンテナンスには多額の費用が必要です。わたしたちの場合は、多くの部品を特注でオーダーしています。ですから、既に多額の予算でしっかり手入れされてきた例を選ぶべきでしょう」

「BMWのV8エンジンの場合、ガスケット交換にはエンジンを降ろす必要があります。そうしないと、ツインターボにもアクセスできません。価格はお手頃だとしても、住宅を買うのと同じです。事前に、専門家によるチェックを受けることをオススメします」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

オイル交換のインターバルは、後期型で1年毎か1万6000km毎。ダッシュボードの表示で、交換時期を教えてくれる。

BMWのツインターボ・エンジンは、カムシャフトが不調になることがあるものの、もはや部品の入手は困難。ウェイストゲート用ブッシュも、新調しないと手に入らない。ヘッドガスケットは、可能性が少ないとはいえ交換が必要になることも。

ベントレー・アルナージ(1998〜2009年/英国仕様)
ベントレー・アルナージ(1998〜2009年/英国仕様)

エンジン後部のエアインジェクション・システム用パイプは、トランスミッションを降ろさなければ交換できない。Vバンク内にある、ブレーキポンプとエアラム・パイプは、目が届きにくく放置されがち。

サスペンションとブレーキ、タイヤ

フロント側のロワーウイッシュボーン・ブッシュは、10万kmほどで駄目になる。重いクルマを止めるブレーキディスクとパッドの状態は、定期的に確かめたい。

18インチの正規サイズのタイヤは、入手が難しい。19インチの方が一般的に売られており、乗り心地やハンドリングでも優れる。

電気系統

正しいサイズのバッテリーを2本、良好な状態に保ちたい。メインの機器用に100ランクのものが、スターター用に75ランクのものが載っている。

ボディ

ドアハンドルやウインドウ・フレーム周辺にサビが出やすい。フェンダー内側も要注意。

インテリア

ヒーターのファンブロワーが正常に速度を変えて動くか確かめる。ステアリングコラムのレバーと、パワーウインドウ系は弱点。助手席側のエアバッグセンサーが壊れることも珍しくない。

エアコンの修理には、センターコンソールとダッシュボードを外す必要がある。作業には1週間は必要だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事