車輪の付いた攻撃ヘリ? イスラエル製の次世代軽装甲車が凄かった プラサン・ワイルダー
公開 : 2022.06.14 18:05
コンパクトながら柔軟性の高いボディ 後輪操舵も追加可能
ワイルダーのモノコックボディは、複合装甲パネルと防弾ガラスを備え、NATO加盟国の装備規格であるSTANAGレベル2の防弾性能を有している。重量は1500kg。フロントとリアのサブフレームを支え、2枚のドアから乗降できる広い室内を持つ。
座席配置は1+3で、運転席はヘリコプターのような視界を確保している。キャビンを車体前部に、エンジンを中央に配置することで、エンジン上部のスペースをロードベイとして利用できるようになっている。
フロントとリアは同じダブルウィッシュボーン式サスペンションを採用し、製造のしやすさとコスト削減を実現。さらに、特許取得の「クロスリンク」ドライブシャフトにより、非常に長い(370mm)サスペンショントラベル量を誇る。
シンプルなチューブで作られているため、戦地での組み立ても容易だ。市街地や森林地帯での取り回し向上のため、オプションで後輪操舵システムも追加できる。ステアリングは電動油圧式で、旋回直径は15mとされている。
装甲車の「大型化」から脱却 設計者に訊いてみた
AUTOCARは、新型ワイルダーの設計を担当した、プラサンのグローバル・ビークル・デザイン・ディレクター、ニール・カーンにインタビューを行った。
――ワイルダーのコンセプトはどのように生まれたのでしょうか?
「軽装甲車は、サイズと重量が大きくなる傾向にあります。ほとんどが8トンに近くなっており、もはや軽いとは言えません。そこで、より小型の車両に対する市場の需要を見つけたんです」
――ミドエンジンというレイアウトには、どのように至ったのですか?
「いくつかアイデアを試していたのですが、エンジンは最初からフロントに搭載していませんでした。というのも、『キット化された外殻』が主要な構造部品となり、パッケージングの幅が広がることが分かっていたからです」
――そのあとは?
「既存のシャシーに装甲を後付けするのではなく、白紙の状態で設計に臨みました。まず装甲パッケージを最適化し、その周りに駆動パッケージを追加していきました。エンジンはフルサイズの荷台を背負えるよう低い位置に設定しました」