ストレスフリーのSUV シトロエンC5 エアクロスへ試乗 多くの人へ好相性 小変更

公開 : 2022.06.24 08:25

ストレスフリーに運転できる快適性

英国仕様の場合、トリムグレードがマイナーチェンジにあわせて変更されている。エントリーグレードがセンス・プラス、充実装備のミドルグレードがシャイン、フル装備状態のトップグレードがCシリーズ・エディションという構成になる。

パワートレインやシャシーの内容は基本的に変わらずで、ドライブフィールに従来のC5 エアクロスとの大きな違いは見つけられない。エキサイティングな走りではなく、扱いやすく快適という本質的な個性も、そのまま。

シトロエンC5 エアクロ・スシャイン・ピュアテック 130 EAT8(欧州仕様)
シトロエンC5 エアクロ・スシャイン・ピュアテック 130 EAT8(欧州仕様)

ファミリーSUVとして日常的な乗られ方を想像すると、多くの人にとって相性の良いモデルだといえる。買い物のほか、会社や学校、駅までの往復にピッタリだろう。

ステアリングが軽く、感触が薄いことも同じ。かなり路面の傷んだコーナーを攻め込んで、手のひらへ僅かに伝わる程度。限界領域ではアンダーステアが出て外へ流れるが、グリップ力はかなり高く、ボディロールも驚くほど抑制されている。

穏やかな気持ちで運転すれば、柔らかいサスペンションで支えるボディが心地よく同乗者を運んでくれる。ドライバーも、ストレスフリーで過ごせる。ダブルシェブロンへの期待通り、フランスの凹凸が目立つ路面を、浮かぶように流れていた。

ただし鋭い入力がタイヤへ加わると、プログレッシブ油圧クッションとシトロエンが呼ぶバンプストップを突き抜けて、振動が車内へ届く。路面にツギハギの多い都市部では、不快に思うこともあるかもしれない。

候補に加えたい実力のファミリーSUV

今回の試乗では、130psの1.2Lガソリンターボと、225psのガソリン・プラグイン・ハイブリッド(PHEV)を運転した。ほかに、130psのディーゼルターボも英国では用意されている。

1.2Lガソリンは、余裕までは感じないものの、不満なく走り洗練性も悪くない。PHEVなら、活発な加速力を引き出せる。駆動用バッテリーだけで最長61km走れ、最高135km/hまで出すことも可能だという。エンジンとのバトンタッチも滑らかだった。

シトロエンC5 エアクロ・スシャイン・ピュアテック 130 EAT8(欧州仕様)
シトロエンC5 エアクロ・スシャイン・ピュアテック 130 EAT8(欧州仕様)

トランスミッションは、スムーズにゆったりと変速をこなす8速オートマティックがモデルの共通。ガソリンとディーゼルでは、6速マニュアルも選択できる。

マイナーチェンジ前と同様に、C5 エアクロスは走りにこだわりを持つドライバーが喜ぶタイプのクロスオーバーではない。乗り心地は、理想的な落ち着きとまではいえず、パワートレインも平均点止まりではある。

しかし、個性的なスタイリングと優れた実用性、快適で穏やかな個性などに注目するなら、候補に加えたいモデルといえる。英国価格も、2万6175ポンド(約426万円)からとお手頃だ。

毎日のクルマ移動を安楽にこなせるファミリーSUVとして、魅力や実力は充分以上。フェイスリフト後も、人気を維持するに違いない。

シトロエンC5 エアクロ・スシャイン・ピュアテック 130 EAT8(欧州仕様)のスペック

英国価格:2万9400ポンド(約479万円/試乗車)
全長:4500mm
全幅:1840mm
全高:1689mm
最高速度:188km/h
0-100km/h加速:10.3秒
燃費:13.7-16.5km/L
CO2排出量:147-166g/km
車両重量:1430kg
パワートレイン:直列4気筒1199ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:129ps/5500rpm
最大トルク:23.4kg-m/1750rpm
ギアボックス:8速オートマティック

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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