【詳細データテスト】BMW2シリーズ FRの魅力は健在 220iは日常使いに おすすめは230i

公開 : 2022.06.18 20:25  更新 : 2022.07.11 06:58

古き佳きBMWらしさが息づくFRクーペ、2シリーズをテストしましたが、エントリーグレードの220iは物足りなさが残りました。ただし、基本的な素性のよさは明白。エンジンと仕様の選択次第で、満足度は高まるはずです。

はじめに

最近の注目を集めるモデルたち、iXや1シリーズ、4シリーズ、そして発表まもない7シリーズを考えると、今日のBMWは、ノスタルジックで、自社のヘリテージを重視しているメーカー、という印象は受けないだろう。

典型的なBMWの特徴といえば、長いボンネットと後輪駆動、控えめなキドニーグリル、そしてホフマイスターキンクといったところ。そのどれもが、排除されたり、大幅な再解釈をされたりしている。

テスト車:BMW 220iクーペ Mスポーツ
テスト車:BMW 220iクーペ Mスポーツ    LUC LACEY

そこで、今回取り上げる2シリーズクーペである。いま、これ以上トラディショナルなBMWはない。先に挙げた特徴は、どれも正しく備わっている。ハイブリッドは設定されず、ストレート6はラインナップされている。

ではデザインは、保守的なファンを惹きつけて、新しいユーザー層には見向きもされないようなものか、というと、そんなことはまったくない。より伝統主義的なユーザーの心を掴みつつ、若いユーザーにも訴求するというのは意図的な戦略だと、BMWのデザイン部門を率いるドマゴイ・デュケックがわれわれに語ったのは昨年のことだ。それこそ、マイナーチェンジした5シリーズに、やたらデカいグリルを付けなかった理由だ。

デュケックはまた、こんなことも口にした。「ノイエクラッセが、きわめて典型的な3ボックスのシルエットをしているのには、理由があるんです。同じことは、現代のBMWすべてに当てはまります。2シリーズクーペは、最高のサンプルです。いかにも後輪駆動らしいプロポーションを、3ボックスに落とし込んでいます。このセグメントに、こういうクルマはほかにありません」。

彼らのクルマがパイオニアで、この上なくユニークだというメーカーの主張は、えてしてかなりの誇張なのだが、このクルマに関してはおそらく真実だ。比較的コンパクトな2+2クーペはいまやレアで、それが後輪駆動となればなおさらだ。

アウディTTはちょっとばかり古くなってしまったし、ルックスはここまでスポーティではない。フォードマスタングでは大きすぎて高すぎるし、トヨタGR86は英国への割り当て分が完売してしまった。

新型BMW2シリーズはこのクラスのリーダーとなることが決まったようなものだが、代わりに4ドアクーペやハッチバックを選んでも不足はない。6気筒のM240iはすでに試乗し、グランドツアラー的なキャラクターでわれわれを魅了した。今回の220iはそうした魅力を一部なりとも、より低い価格で実現できているのだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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