発表から3年 あの軽量スーパーカーはどうなった? ジネッタ・アクーラ開発状況が明らかに

公開 : 2022.06.16 06:05

前後重量配分49:51 フロントミドシップで実用性も確保

当初は2020年に20台製造する予定だった。トムリンソンは水面下で知り合いを通じて数台のオーダーを集め、新型スーパーカーの噂が慎重に広まるにつれて14台に増えた。ジネッタによると、希少性を高めるために年間生産台数はわずか30台から50台程度に留めるとしている。

アクーラは、これまでのジネッタの公道向けモデルよりも大きく、全長はポルシェ911 GT3よりもわずかに長い4640mm。フロントミドシップとされているが、エンジンはドライブプーリーがワイパーの真下にあるほどボディの中心近くに置かれており、フロント49%、リア51%の重量配分を実現している。

ジュネーブ・モーターショー2019で公開されたジネッタ・アクーラ
ジュネーブ・モーターショー2019で公開されたジネッタ・アクーラ

このレイアウトにより、ボディ前部に十分なスペースを確保し、FIA GT3レベルの衝突保護性能と軽量かつ堅牢なダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションの搭載を実現した。リアにも同様のダブルウィッシュボーンが採用されているが、ゴルフクラブを2セット収納できるトランクスペースを確保している。

タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4で、フロントが275/35 ZR19、リヤが305/30 ZR20。ブレーキはアルコン製カーボンディスクだ。

レーシングカー並の空力性能 細かいオーダーメイドも

トムリンソンはフロントミドエンジンのレイアウトについて、「これが正しいやり方だ」と述べている。エンジンが後部寄りにあることで、空力パッケージが最適化される。また、フロントウィッシュボーンを長くすることで、高速走行時に空力負荷がかかって車高が変化しても、タイヤを路面に接地させることができるという。

アクーラは、公道向けのモデルとしては驚異的な空力性能を発揮する、というのがジネッタの主張だ。巨大なリアウィングはジネッタLMP1と同じ形状で、荒々しいディフューザーにより空気を引き裂いていく。2本のサイドエグゾーストは、アンダーボディのエアフローを阻害するのを防いでいる。こうして生まれたダウンフォースは、160km/h走行時で376kgと驚異的だ。

ジュネーブ・モーターショー2019で公開されたジネッタ・アクーラ
ジュネーブ・モーターショー2019で公開されたジネッタ・アクーラ

もはやレーシングカーと呼んでも過言ではないが、市販車としての実用性も備えているという。トムリンソンによると、「実用的」なドアは乗り降りのしやすいサイズに設定され、パネルのフィット感にもこだわりがあるそうだ。容量675Lのトランクには大きな荷物を積むことができ、ドライバーの視界も現実の交通環境を配慮した設計になっているとのこと。

他にも、オートヘッドライト、バックカメラ、電子パーキングブレーキ、パーキングセンサー、ナビ、ABSとトラクションコントロール、エアコン、コネクティビティなどの機能が搭載される予定だ。ドアハンドルと車内のスイッチギアは、アルミの削り出しが使われる予定。ジネッタの2年間の保証付きで、「世界中どこでも」対応可能だという。

購入時にはカラーリングやトリムなどを指定できる。ステアリングコラムとペダルボックスは調整可能で、シート形状も素材やパッドで変更することができる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ愛知在住。幼少期から乗り物好き。住宅営業や記事編集者といった職を経て、フリーランスとして自動車メディアで記事を書くことに。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。

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