発表から3年 あの軽量スーパーカーはどうなった? ジネッタ・アクーラ開発状況が明らかに
公開 : 2022.06.16 06:05
前後重量配分49:51 フロントミドシップで実用性も確保
当初は2020年に20台製造する予定だった。トムリンソンは水面下で知り合いを通じて数台のオーダーを集め、新型スーパーカーの噂が慎重に広まるにつれて14台に増えた。ジネッタによると、希少性を高めるために年間生産台数はわずか30台から50台程度に留めるとしている。
アクーラは、これまでのジネッタの公道向けモデルよりも大きく、全長はポルシェ911 GT3よりもわずかに長い4640mm。フロントミドシップとされているが、エンジンはドライブプーリーがワイパーの真下にあるほどボディの中心近くに置かれており、フロント49%、リア51%の重量配分を実現している。
このレイアウトにより、ボディ前部に十分なスペースを確保し、FIA GT3レベルの衝突保護性能と軽量かつ堅牢なダブルウィッシュボーン式フロントサスペンションの搭載を実現した。リアにも同様のダブルウィッシュボーンが採用されているが、ゴルフクラブを2セット収納できるトランクスペースを確保している。
タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4で、フロントが275/35 ZR19、リヤが305/30 ZR20。ブレーキはアルコン製カーボンディスクだ。
レーシングカー並の空力性能 細かいオーダーメイドも
トムリンソンはフロントミドエンジンのレイアウトについて、「これが正しいやり方だ」と述べている。エンジンが後部寄りにあることで、空力パッケージが最適化される。また、フロントウィッシュボーンを長くすることで、高速走行時に空力負荷がかかって車高が変化しても、タイヤを路面に接地させることができるという。
アクーラは、公道向けのモデルとしては驚異的な空力性能を発揮する、というのがジネッタの主張だ。巨大なリアウィングはジネッタLMP1と同じ形状で、荒々しいディフューザーにより空気を引き裂いていく。2本のサイドエグゾーストは、アンダーボディのエアフローを阻害するのを防いでいる。こうして生まれたダウンフォースは、160km/h走行時で376kgと驚異的だ。
もはやレーシングカーと呼んでも過言ではないが、市販車としての実用性も備えているという。トムリンソンによると、「実用的」なドアは乗り降りのしやすいサイズに設定され、パネルのフィット感にもこだわりがあるそうだ。容量675Lのトランクには大きな荷物を積むことができ、ドライバーの視界も現実の交通環境を配慮した設計になっているとのこと。
他にも、オートヘッドライト、バックカメラ、電子パーキングブレーキ、パーキングセンサー、ナビ、ABSとトラクションコントロール、エアコン、コネクティビティなどの機能が搭載される予定だ。ドアハンドルと車内のスイッチギアは、アルミの削り出しが使われる予定。ジネッタの2年間の保証付きで、「世界中どこでも」対応可能だという。
購入時にはカラーリングやトリムなどを指定できる。ステアリングコラムとペダルボックスは調整可能で、シート形状も素材やパッドで変更することができる。