世界のVIPが愛用する超高級車 16選 女王や政府高官の「アシ」となるクルマたち

公開 : 2022.06.18 18:05  更新 : 2022.06.18 18:23

デイムラーDS420(1968年)

DS420は、他のどのクルマよりも多くの国家元首に納車されている。当初から量産型リムジンとして製造されたこのDS420は、ジャガー420Gをベースに、セダン、ランドーレット(後部座席のみがオープントップになっているもの)、または独自のボディを搭載できるシャシーとして販売された。

1968年にデンマーク国王がプリプロダクションモデルを試乗し、王室の移動手段として適していると判断された。DS420は24年間にわたって生産が続けられ、エリザベス女王も数台を購入し、しばしば外国訪問の際に空輸している。

ダイムラーDS420(1968年)
ダイムラーDS420(1968年)

シトロエンCX(1974年)

英国のローバーP5Bと同様、シトロエンCXはフランスの国家元首のお気に入りであった。1976年に発売されたプレステージモデルでは、後席のレッグルームが狭いという苦情に対応するため、ホイールベースを25cm延長している。また、ジスカール・デスタン大統領から指摘を受けたヘッドクリアランスも改善された。

ジャック・シラク大統領はCXの大ファンで、後継のXMが登場してからもずっと使い続けていた。その滑らかな乗り心地に惚れ込み、1995年の大統領就任後もCXを愛用している。このほか、スペイン国王フアン・カルロス1世やモナコ公国レーニエ3世なども所有した。

シトロエンCX(1974年)
シトロエンCX(1974年)

マセラティクアトロポルテ(1979年)

イタリアの大統領は、ゴージャスなマセラティ・クアトロポルテを公式に乗り回すことができる。1979年にサンドロ・ペルティーニ大統領に献上され、1982年に大統領用のパイプホルダーを備えた装甲仕様にアップグレードされるまで、広く使用された。

1986年には、キャビンをさらに豪華にし、電話や折りたたみテーブルをリアドアに組み込んだ「ロイヤル」が登場。わずか51台しか製造されていない。

マセラティ・クアトロポルテ(1979年)
マセラティ・クアトロポルテ(1979年)

ペルティーニ大統領は、フェラーリの工場を公式訪問した際、エンツォ・フェラーリが出迎えてくれると思っていたが、それは叶わなかった。フェラーリがライバルであるマセラティの存在を認めることができなかったからだ。エンツォ・フェラーリは1988年に死去。1993年、マセラティはフェラーリとともにフィアット傘下に入る。

写真は、大統領府で使用される最新モデルである。

クイーンズ・ステート・ベントレー(2002年)

自分のためにわざわざハンドメイドされたクルマがあれば、自分が世界のエリートであると認識できるだろう。2002年、エリザベス女王は、ゴールデン・ジュビリー(即位50周年)を記念してベントレーの大型リムジンを贈られた。ベントレー・アルナージをベースに、コーチビルド部門であるマリナーによって製作されたオーダーメイドである。

ボディは標準のアルナージより830mm延長され、セキュリティキットによる重量増加を克服するために最高出力400psの6.75L V8エンジンが搭載されている。ベントレーは、実物大のモデルを使用して女王のために完璧なシートポジションを作り上げたほか、90度まで開くリアドアにより簡単に乗り降りできるようにした。

クイーンズ・ステート・ベントレー(2002年)
クイーンズ・ステート・ベントレー(2002年)

また、パノラミックガラスルーフは、プライバシーを確保するために不透明なパネルに交換することができる。予備と合わせて2台作られた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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