アルピーヌA110がマイナーチェンジ  新登場「GT」が楽しいワケ グレード比較試乗

公開 : 2022.06.22 05:45

マイナーチェンジしたアルピーヌA110に試乗。「アルピーヌシャシー」の「GT」が楽しいワケを解説します。

マイチェンで際立つ3つの個性

今年1月に発表されたアルピーヌA110のマイナーチェンジ。その実車が上陸したことでプレス向けの試乗会が開催された。

2017年のデビューということを考えればマイナーチェンジは遅いくらいだが、シンプルな構成のスポーツカーなので、変更はあまり多くないようだ。

マイナーチェンジしたアルピーヌA110 GT(右)とA110 S(左)に試乗。
マイナーチェンジしたアルピーヌA110 GT(右)とA110 S(左)に試乗。    宮越孝政

主な変更か所は、300ps版エンジンの導入と、インフォテインメントシステムがアップル・カープレイとアンドロイド・オートに対応したという2点である。

これらの変更を踏まえたうえで、A110シリーズのラインナップも変化している。

これまでのアルピーヌはベーシックなA110ピュア、ラグジュアリーに寄せたA110リネージ、そしてハイパフォーマンスのA110 Sという3グレードで構成されていた。

今回のマイナーチェンジでは3つのグレードとA110 Sの名称こそ変わらないものの、それ以外はA110ピュアがA110に、A110リネージはA110 GTという新しい車名に変更されている。

これまで最強だった292psエンジンは、カタログモデルではA110 Sのみに搭載されていた。

それが今回から300psにアップグレードされ、リネージあらためA110 GTにも搭載される。

新グレードともいえるA110 GTは、シャシーセッティングこそA110と同じ「アルピーヌシャシー」だが、ここに300psエンジンを組み合わせている点が新しい。

3モデルの個性が以前よりもしっかり振り分けられた、という見方でいいと思う。

新グレード「GT」 何が新しい?

今回は300psエンジンの2台、A110 GTとA110 Sに試乗した。

GTはリクライニング可能な革張りシートをはじめとするラグジュアリーなインテリアを装備。

マイナーチェンジしたアルピーヌA110 GT(右)とA110 S(左)に試乗。
マイナーチェンジしたアルピーヌA110 GT(右)とA110 S(左)に試乗。    宮越孝政

一方のSは潔くモノコックバケットを装備している。

シャシー設定はA110 GTが「アルピーヌシャシー」で、A110 Sは「シャシースポール」となっている。

さらに今回試乗したA110 SにはSのみが装備可能なエアロキットが備わっていた。

これはカーボン製のフロントブレードとエクステンデッドアンダーパネル、そしてやはりカーボン製のリアスポイラーで構成されており、フロントが+60kg、リアは+81kg増しのダウンフォースを得ている。

ブルーアピスという深い紺色のA110 GTで大観山からターンパイクを下りはじめる。

ストローク感のある懐の深いアシとフィット感が高いシートの組み合わせが醸し出すフィーリングは、以前のリネージと大差ない。

シフトチェンジが少し俊敏に感じられるくらいだ。

とはいえ、そもそもこれ以上差し引きできないほど煮詰められている「アルピーヌシャシー」だけに不満があるわけではない。

300ps版エンジンは充分にパワフルだが、そのパワーカーブはこれまでの292ps版とほぼ同じ。

2500から6000rpmをこえたあたりまでずっと8psほど上乗せされている感じなので違いを体感するのは難しい。

とはいえA110 GTはラグジュアリーですっきりした乗り心地と、トップレベルのスピードを兼ね備えた新グレードであることはたしかだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮越孝政

    Takamasa Miyakoshi

    1973年生まれ。スタジオワークを中心としたカメラマンのアシスタントを数年経験後、自動車雑誌の編集部員として、見習いに。編集部員時代に鍛えられた事は長距離の自走での移動と早朝ロケで早起きすること。その後、独立し、フリーランスとなる。クルマと関わりを持っていられることに幸せを感じる。愛車はルノー・カングー、日産スカイラインGT-R(R32)

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