アルピーヌA110がマイナーチェンジ  新登場「GT」が楽しいワケ グレード比較試乗

公開 : 2022.06.22 05:45

比較してわかった「GT」の真価

A110 GTの後でA110 Sのステアリングを握った。

Sは走りはじめた当初からただならぬ雰囲気が伝わってきた。

アルピーヌA110 GT
アルピーヌA110 GT    宮越孝政

ゆっくり走っていると車体が重ったるく、抵抗感が強いのだ。

これが前後に備わったエアロキットによるダウンフォースの正体か? とも思ったが、そうではなかった。

走りはじめる時スタッフの方に「これカップ2履いているので、濡れているところ気を付けてください」と言われていたのを思い出した。

ただでさえタイヤ幅が前後とも1サイズ広いSなのに、さらに「公道を走れるレーシングタイヤ装備」なので、気持ち悪いほどの抵抗感。

サーキットでタイムを狙うならこの仕様もアリだが、公道ではA110の軽快で伸びやかなフィーリングが台無しだ。

だがこの極端なセッティングのSをドライブしたことで、「ナローシャシー」とでもいうべき「アルピーヌシャシー」と全域でパワフルな300psエンジンを組み合わせたGTの良さが際立って感じられた。

軽快で、ラグジュアリーで、しかしトップレベルのパワーも備えている。

GTはついに登場したA110の万能グレードという見方もできるのである。

前44%、後56%という理想的な重量配分、空力特性を備えたオリジナルの素性の良さはそのままに、ファインチューンとコンポーネンツの組み合わせによって、走り好きドライバーにフィットしたモデルを生み出してきたアルピーヌ。

さすが開発陣はこのクルマの魅力を熟知しているのだなと感心させられた。

アルピーヌA110 GTのスペック

価格:893万円
全長:4205mm
全幅:1800mm
全高:1250mm
ホイールベース:2420mm
車両重量:1120kg
パワートレイン:直列4気筒1798ccターボ
最高出力:300ps/6300rpm
最大トルク:34.6kg-m/2400rpm
ギアボックス:7速オートマティック

アルピーヌA110 GT
アルピーヌA110 GT    宮越孝政

アルピーヌA110 Sのスペック

価格:897万円
全長:4205mm(エアロキット付4230mm)
全幅:1800mm
全高:1250mm
ホイールベース:2420mm
車両重量:1110kg
パワートレイン:直列4気筒1798ccターボ
最高出力:300ps/6300rpm
最大トルク:34.6kg-m/2400rpm
ギアボックス:7速オートマティック

アルピーヌA110 S
アルピーヌA110 S    宮越孝政

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    宮越孝政

    Takamasa Miyakoshi

    1973年生まれ。スタジオワークを中心としたカメラマンのアシスタントを数年経験後、自動車雑誌の編集部員として、見習いに。編集部員時代に鍛えられた事は長距離の自走での移動と早朝ロケで早起きすること。その後、独立し、フリーランスとなる。クルマと関わりを持っていられることに幸せを感じる。愛車はルノー・カングー、日産スカイラインGT-R(R32)

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