小さなクルマが起こした奇跡 ホンダ・シビックの50年を振り返る 後編 8代目からe:HEVまで

公開 : 2022.06.19 18:25

世界で最も人気のあるコンパクトカーの1つ、ホンダ・シビック。今年で初代誕生から50年を迎えたシビックの栄光と挫折を振り返ります。

8代目

これまでは、地域ごとに微妙な差こそあれ、世界中でほとんど同じようなモデルがシビックとして販売されてきた。しかし、2005年になると、その状況は一変する。

日本(FD型)では4ドア・セダンのみを販売し、欧州向け(FK型)には3ドアや5ドアのハッチバック、それ以外の国ではクーペも販売するというのが大まかな流れだった。見た目が違えばエンジンのラインナップも大きく異なるという、全くの別物であった。

8代目ホンダ・シビック(画像は欧州仕様のFK型)
8代目ホンダ・シビック(画像は欧州仕様のFK型)

欧州専用デザイン

従来のシビックの外観は、どちらかというと「おとなしい」、別の言い方をすると「味気ない」「地味」なものというイメージが強かった。しかし、2005年のジュネーブ・モーターショーに出展された欧州向けのコンセプトカーは、衝撃的ともいえるアグレッシブな外観であった。そして、その数か月後に発売された市販モデルも、その印象はほとんど変わっていない。

当時の英AUTOCAR編集部は、「おばあちゃんは嫌がるだろうね」としつつ、「これでホンダのイメージが良くならないのなら、降参だ」と書いている。

8代目ホンダ・シビック・タイプS(画像は欧州仕様)
8代目ホンダ・シビック・タイプS(画像は欧州仕様)

2つのタイプR

新型シビックのタイプRが遅かれ早かれ登場することは、もう避けられなかった。日本では4ドア・セダン(FD2型)、欧州では3ドア・ハッチバック(FN2型)と2種類あった。

両モデルには、同じ高回転型2.0L VTECエンジン「K20」系列が搭載されていたが、仕様がわずかに異なっている。欧州仕様の最高出力は約200psで、ホットハッチとして十分な速さを備えているが、日本仕様は225psと、よりパワフルである。

ホンダ・シビック・タイプR(画像は欧州仕様のFN2型)
ホンダ・シビック・タイプR(画像は欧州仕様のFN2型)

9代目

2011年に登場したシビックは、先代で好評を博した先鋭的なスタイリングを踏襲。また、欧州向けのハッチバックと、それ以外の市場向けのセダンやクーペに分けられた。しかし、海外専売となったため日本では販売されていない。

9代目ホンダ・シビック
9代目ホンダ・シビック

ツアラーの登場

2014年、シビックのワゴンタイプが「ツアラー」として売り出された。後席上部までの積載量は624Lと、ハッチバックの477Lを大幅に上回る。

重い荷物を積んだとき、中程度の荷物を積んだとき、あるいは全く荷物を積んでいないときを考慮して、リアサスペンションのダンピングをドライバーが3段階で設定できるようになっている。フロントサスペンションは、この種のクルマではその必要がないため、調整式ではなかった。

ホンダ・シビック・ツアラー
ホンダ・シビック・ツアラー

タイプRにターボ搭載

2015年に発売されたモデルで、ホンダはシビック・タイプRのアプローチを完全に見直した。エンジンはこれまでと同じ系列のものだったが、歴代で初めてターボチャージャーが搭載された。

高回転は過去のものとなった(ターボエンジンは自然吸気より低い7000rpmで力尽きる)が、出力は約50%アップの310psとなり、これまでのシビックで断トツの高性能モデルに仕上がっている。

ホンダ・シビック・タイプR
ホンダ・シビック・タイプR

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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