濃密な感覚を味わう ヴィーズマン・プロジェクト・サンダーボールへ試乗 EVロードスター 後編
公開 : 2022.06.30 08:26
チャレンジングな道でも流暢に高速で操れる
メカニカルグリップが高く、意欲的にアクセルペダルを倒しても大丈夫。チャレンジングな道でも、すぐに流暢に高速で操れるようになった。
一方で、実力の111.9kg-mを発揮できたら、ここまでの親しみは感じなかったかもしれない。電子アシストなしのシングルモーター版と、電子アシストが機能したツインモーター版、どちらが楽しいのだろうと想像してしまった。
とはいえ、プロトタイプながら、大きな希望を抱かせてくれるロードスターだったことは間違いない。BMW M社由来のエンジンが放つ音響体験を楽しめないという事実はあるが、それはポルシェ・タイカンもまだ達成し得ない、新たなハードルといえる。
ヴィーズマン社がプロジェクト・サンダーボールで目指すものは、伝わる感覚の濃密さ。恐らく、安価に仕上がることはないだろう。だが、沢山の愛情が注がれるロードスターが誕生するのではないだろうか。
BMWのエンジンから電気モーターへの協力者
BMW社製のV8エンジンが前提で開発されたプロジェクト・ゲッコーのBEV化に向けて協力した、ロディング・オートモービル社。その創業者の1人で情熱的なギュンター・リードル氏にも、話を伺うことができた。
「電動のロードスターが、機能しない理由はありません。今のところ、完全に自動化された超知的な自動車を作ろうとは考えていません」
「ヴィーズマン社は、これまでも走りがいのある道のためのモデルを手掛けてきました。ステアリングホイール裏のパドルと、アナログのメーターを残した理由でもあります」。と話すリードルは、難しい課題へも果敢に取り組む。
ソフトウエアも、ヴィーズマン社と独自開発している。シートの座面を低く抑えながら、バッテリーモジュールをシャシーに搭載することも実現した。常に笑顔を振りまき楽しそうにしている彼の影響力は、素晴らしい結果を導いているようだ。
ヴィーズマン・プロジェクト・サンダーボール・プロトタイプ(欧州仕様)のスペック
英国価格:25万5000ポンド(約4156万円/予想)
全長:4440mm
全幅:2210mm(ドアミラー含む)
全高:1285mm
最高速度:−
0-100km/h加速:2.9秒
電費:6.0km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1700kg(予想)
パワートレイン:ツインモーター
駆動用バッテリー:83kWh(実容量)
最高出力:680ps
最大トルク:111.9kg-m
ギアボックス:シングルスピード・オートマティック