これぞ元祖ジープ ウイリスMB/フォードGPW/ホッチキスM201 英国版クラシック・ガイド 後編

公開 : 2022.07.09 07:06  更新 : 2022.08.08 07:06

必要から生まれたオフローダー、元祖ジープ。実用的に乗って楽しめるクラシックを、英国編集部がご紹介します。

シンプルで機械的な故障がわかりやすい

自動車としては原始的な設計といっていい元祖ジープは、現代のモデルとは大きく異るドライビング体験を与えてくれる。3速MTは、通常のシフトパターンとは逆だし、ハイレンジとローレンジを選べるレバーと、後輪駆動か四輪駆動を選ぶレバーも付いている。

ハイレンジとローレンジを切り替える場合は、一旦停止するのがベスト。四輪駆動は、ローレンジでしか機能しない。多くのジープの電装系は電圧が6Vだったが、現代的な12Vへ変更されている例も少なくない。

フォードGPW(1941〜1945年)
フォードGPW(1941〜1945年)

メカニズムはシンプルで、機械的な故障もわかりやすい。中古車を選ぶ場合は、もし公道走行が可能なら事前に試乗して、すべてが正常に動くか確かめたいところ。エンジンは温まりきるまで回し、トランスミッションも各段を試すのがベストだろう。

エンジンを掛けたらまず確認したいのが、排気ガスに白い煙が多く混ざっていないかどうか。ピストンリングやシリンダー内面、バルブガイドの摩耗が疑われる。

エンジンがヘタってくると油圧が下がり、オイル消費が多くなり、ノッキング音などが伴うようになる。オイル漏れする場合もある。

近年に生産された粗悪な補修部品に注意

エンジンの油圧は走行中で40psiから50psi、アイドリング時は10psi前後が正常。ただしホッチキスのM201の場合は、20psiとなる。水温は70度から85度の範囲が理想のようだ。

エンジンの点火を制御する、ディストリビューター周辺のエンジンブロックやヘッドに亀裂がないか、しっかり確認もしたい。ヘッドガスケットの不具合で、ラジエタークーラントにエンジンオイルが混入していないかも、事前に確かめたいポイント。

フォードGPW(1941〜1945年)
フォードGPW(1941〜1945年)

トランスミッションは特に2速で、走行中にギアが抜けることがある。駆動系からの唸り音が過度に大きくないかも確認する。マスターシリンダーの固着やホースの劣化などに伴う、ブレーキの引きずり、摩耗による曖昧なステアリングなどにも注意したい。

生産から約80年が経過したウイリスMBやフォードGPWでも、さほどスピードは出ないものの、活発に走ってくれる。操作系も、正常なら過度に重いと感じる部分はないはず。

過酷な任務に従事したジープだが、目的や装備に合わせて、手荒に改造されていることも少なくない。ボディの傷も気にせず走り込まれ、手元にある部品で簡易的な修理を受けた例も珍しくない。発見したMBが、別のMBと同じだとは考えない方が良い。

ただし、最も注意すべきは近年に社外生産された粗悪な補修部品だろう。本来優れるジープの能力を、揺るがすことにもなり得る。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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