これぞ元祖ジープ ウイリスMB/フォードGPW/ホッチキスM201 英国版クラシック・ガイド 後編
公開 : 2022.07.09 07:06 更新 : 2022.08.08 07:06
購入時に気をつけたいポイント
ボディとシャシー
基本的に錆は珍しくない。過去の補修が適切かどうか、各部を観察して確認したい。ボディのエッジ部分やツールボックスの底、シャシーセンター、フットプレート、幌まわりなどはチェックポイント。
パイプやチャンネル材のクロスメンバーは、識別ポイントになるのと同時に錆びやすい。ホッチキス仕様に追加された補強部分も同様。乗降口の補強部材は、滑らかに曲線を描いているのが正解だが、M201の場合は直線的だ。
エンジンとラジエター
ウイリス社による4気筒サイドバルブ・エンジンはゴーデビルと呼ばれ、フォードもライセンス生産していた。基本的には堅牢なユニットだ。キャブレターはカーター社の539のほか、安価なソレックス社のM32も利用できる。
エンジンブロックやヘッド、マニフォールドのひび割れ、内部の摩耗、油圧の低下、キャブレターの劣化などに注意したい。燃料ポンプは、粗悪品が組まれている場合も。本来の仕様に合った部品なのか確認する。
ラジエターは、内部の汚れが原因でオーバーヒートにつながることも。基本的に冷却系は堅牢だが、エンジンのひび割れやガスケットの抜けで、クーラントにオイルが混入している場合もある。
トランスミッションとアクスル
前後アクスルの摩耗に注意したい。フルード不足にも気をつける。試乗時はすべての段に変速して、ギアが抜けないか確かめたい。過度なノイズや振動が生じないかも確認する。四輪駆動への切り替えも。
電気系統
初期のMBやGPWは電圧が6Vで脆弱。12Vの方が良い。M201の24Vシステムはエンジン始動に問題が生じがち。点火系の状態を確かめたい。
サスペンションとステアリング
ステアリングボックスの劣化や、内部のベアリングの摩耗、トラックロッド・ジョイント、キングピンなどの状態を確かめる。車高はホイールアーチまでの高さで、フロントが約33インチ(383mm)、リアが約35インチ(889mm)あれば正常。
ウイリスMB/フォードGPW/ホッチキスM201のまとめ
現在も膨大な数の元祖ジープが生存している。使い古されたクルマから、見た目にも優れた、オリジナル・コンディションに近いのものもまで、選択肢は幅広い。調子良く走るウイリスMBもあれば、だらしない例も珍しくない。
リビルドやレストアを経ていても、すべてオリジナル部品で仕上げられているケースは多くない。といっても、現役時代から部品は手元にあるもので賄われてきた。
ジープ・ファンにとって、オリジナル度の高さはあまり問題ではないようだ。むしろ正規部品だけで、当時の状態が保たれているジープは殆どないといっていい。販売価格が内容に見合うものかどうかは、しっかり確かめたいところ。
良いトコロ
殆どの部品が今も入手できる。新品で手に入る部品もあれば、社外品として生産されているものもある。実用的に乗って楽しむことができるのが、元祖ジープの強み。すべてをオリジナルコンディションで維持したいと、強く拘らなければ。
良くないトコロ
すべての部品をオリジナル状態に戻したいと考えるなら、かなり手を焼くことになるだろう。粗悪なサードパーティ部品も少なくない。
ウイリスMB/フォードGPW/ホッチキスM201(1941〜1966年)のスペック
英国価格:−
生産台数:64万7619台(MB/GPW)/2万7628台(M201)
全長:3360mm
全幅:1575mm
全高:1829mm
最高速度:96-104km/h
0-97km/h加速:−
燃費:5.0-6.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1113kg
パワートレイン:直列4気筒2200cc自然吸気サイドバルブ
使用燃料:ガソリン
最高出力:54ps/4000rpm
最大トルク:13.1kg-m/2000rpm
ギアボックス:3速マニュアル