ガソリン高騰でも楽しみたい スズキ・カプチーノ 1.0L以下のクラシック 前編

公開 : 2022.07.10 07:05

世界中が悩まされる原油高騰。英国編集部が、こんな時代も楽しめる排気量1000cc以下のクラシックを選出しました。

アナログな運転を謳歌できるクラシックカー

1970年代のオイルショックほどではないかもしれないが、内燃エンジンファンにとって、再び厳しい時代がやってきたようだ。混迷する世界情勢へ翻弄されるように、原油価格は高騰。最近は懐が寂しい、という読者もいらっしゃるだろう。

さらに、内燃エンジンからBEV(バッテリーEV)への変化という、パラダイムシフトも迫っている。大排気量のクルマは、肩身が狭くなる一方だ。

レッドのオースチン・ヒーレー・スプライトMk1、ブルーのフィアット850 スパイダー、シルバーのスマート・ロードスター・クーペ・ブラバス、レッドのスズキ・カプチーノ、ダークグリーンのオースチン・セブン
レッドのオースチンヒーレー・スプライトMk1、ブルーのフィアット850 スパイダー、シルバーのスマートロードスター・クーペ・ブラバス、レッドのスズキカプチーノ、ダークグリーンのオースチン・セブン

そこで英国編集部は、コンパクトなボディに小排気量エンジンを載せた、走りを堪能できるクラシックカーを選び出すことにした。環境問題やガソリン代を理由に、クルマ好きが楽しむことを諦める必要はない、ということを再確認するために。

われわれが設定した選出基準は簡単で、電動化技術を搭載していなくても良い。エンジンの排気量が1.0L以下で、タイヤが4本付いていること。コンパクトで倹約的というだけでなく、使い勝手の良いモデルでもあること。

そして最も大切だと考えたのが、運転が楽しいかどうか。自ずと、小さなスポーツカーが集まることになった。

財布の中身が多少軽くても大丈夫。ガソリンスタンドで満タンにして、思い切りアナログなクルマを謳歌できる、クラシックカー5台をご紹介させていただきたい。

協力:ビスター・ヘリテージ社、スクランブラー社

スズキ・カプチーノ(1991〜1997年)

少しのガソリンでも最大限に楽しみたいと考えるなら、軽いボディに、高効率でパワフルなエンジンを載せたクルマを選べばいい。そんな条件をクラシックカーでも叶えてくれるのが、軽自動車の熟練、日本のスズキだ。

天然資源が潤沢ではない島国にとって、燃費の良いクルマは非常に重要。国民には、節約という文化が根づいている。

スズキ・カプチーノ(1991〜1997年/英国仕様)
スズキ・カプチーノ(1991〜1997年/英国仕様)

日本人にとって一般的な軽自動車には、ボディサイズやエンジンの排気量、最高出力などに規定がある。代を重ねる毎に大型化していく現代のクルマにあって、軽自動車の場合は自由に大きくできない。世界最小の、実用的なクルマの1種といっていい。

燃費の良いクルマに対しては政府の優遇措置があり、軽自動車の場合は特に税金が安価。事実、日本の道を走っているクルマの3分の1以上が、軽自動車となっている。各国が輸入による石油依存を減らすうえでも、成功事例といえる枠組みだろう。

日本が好景気に沸いた1990年代、エキサイティングな企業イメージを作ろうと考えたスズキは、既存の量産部品を選りすぐり、軽量なロードスター・ボディに載せることをひらめいた。それがカプチーノだ。同社としては、得意とする手法といえた。

エンジンは、通常の軽自動車にも搭載されていたF6A型と呼ばれる、3気筒ターボガソリン。657ccという小排気量ながら、3000rpm以上ではたくましく、9000rpmのレッドラインめがけて爽快に吹け上がった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。
  • 撮影

    ウィル・ウイリアムズ

    Will Williams

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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