ガソリン高騰でも楽しみたい スズキ・カプチーノ 1.0L以下のクラシック 前編
公開 : 2022.07.10 07:05
シリアスなドライバーズカー
シフトチェンジでアクセルペダルを緩めれば、ウェイストゲート・バルブが開き、パシュっとエンジンも一息。ドライバーの気持ちをくすぐった。幼稚と思えるトリックとはいえ、大人になっても楽しいモノは楽しいのだ。
そんなクルマづくりは、スタイリングにも反映していた。アニメキャラクターのように、クリっと大きな目のヘッドライトが付いた小さなボディは、なんとも可愛い。
バブル経済を象徴していたといえるのが、アレンジ可能なルーフ。ハードトップとTバールーフ、ロードスターという3タイプを、1台のカプチーノで実現していた。折りたたみ可能なルーフは、リアの荷室にしまうことも可能だった。
カプチーノは、シリアスなドライバーズカーでもある。短いドアからの乗り降りは少々難しいものの、1度シートに座ってしまえば、スズキらしく考えられた人間工学が迎えてくれる。
スポーツカーと呼ぶのに不足ないほど、5速MTは軽量で正確。機械的な感触も豊か。ドライバーの正面へにきれいに並んだ3枚のペダルも、多くの軽自動車とは異なる部分といえる。
パワーアシストの付かないステアリングも秀逸。ダイレクトでクイックだが、余計なノイズは手のひらへ伝わってこない。
乗り心地は適度にしなやかで、軽い車重のおかげでボディロールは最小限。サスペンションはマルチリンク式を採用し、よほど傷んだ舗装でない限り振動に悩まされることもない。軽さのメリットが発揮されていた。
英国にも正規輸入されていた
基本的には日本専売の軽自動車規格となるスズキ・カプチーノだが、実は英国にも正規輸入されている。1110台が売れており、現実的に中古車として探すことも難しくない。
英国スズキで技術者をしているポール・メイ氏も、その1台のオーナー。ただし、カプチーノは防錆処理が充分ではなく、アンダーボディは溶接による大手術を受けている。現存する多くが、サビに悩まされているという。
「雨水がルーフからドアフレームを伝って、サイドシルの中を流れていくんです。ここの排水ポイントが詰まると、腐食を促します」。とメイが説明する。
しかし、サイドシルの補修部品はまだ入手可能とのこと。ほかのメカニカル系部品も、英国でも手に入るという。カプチーノの部品の多くが、同時期の既存モデルと共有されていた強みといえるだろう。
スズキ・カプチーノ(1991〜1997年/英国仕様)のスペック
英国価格:1万1995ポンド(新車時)/9000ポンド(約148万円)以下(現在)
生産台数:2万8010台(合計)
全長:3295mm
全幅:1395mm
全高:1185mm
最高速度:136km/h
0-97km/h加速:8.0秒
燃費:17.7km/L
CO2排出量:−
車両重量:725kg
パワートレイン:直列3気筒657ccターボチャージャーDOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:64ps/6500rpm
最大トルク:8.6kg-m/4000rpm
ギアボックス:5速マニュアル
この続きは中編にて。
画像 1000cc以下の楽しいクラシック カプチーノ/スプライト/850 スパイダー/スマート・ブラバス/オースチン・セブン ケータハム・セブンも 全68枚