プジョー 新型408 欧州発表 新ジャンル開拓にかけるプジョーの狙いは?

公開 : 2022.06.23 06:05  更新 : 2023.06.20 17:30

既存モデルとの共存関係 車名3桁の理由

プジョーは、408の全長を508に近づけつつ、価格的には308と3008の中間に位置づけ、新しい顧客層の取り込みを目指す。408のプロダクト・マネージャーであるオーレリー・ブレッソンは、次のように述べている。

「小型ハッチバックのオーナーは、より広い室内空間に同じドライビング・エクスペリエンスを求めているかもしれませんし、小型SUVのオーナーは、より個性的でダイナミックなドライビング・エクスペリエンスを求めているかもしれません。大型セダンのオーナーは、長い車体にモダンなボディラインを求めているかもしれません」

プジョー408
プジョー408    プジョー

「広い心の持ち主で、機能性だけを求めてクルマを買うのではない、というのが彼らの共通点です」

プジョーは408を、「SUV」ではなく、「セダンの派生モデル」と位置づけている。そのため、車名も4桁ではなく3桁の数字が採用された。しかし、508を脅かす存在ではないというのがプジョーの主張だ。同社のマーケティング責任者、フィル・ヨークはAUTOCARに対し、こう語っている。

「508は、プジョーブランドの象徴であり、ハイエンドモデルです。市場で個性的なモデルとなっている508 PSE(パフォーマンス重視のPHEV)と、特定の顧客ニーズを満たす508 SW(ステーションワゴン)があります。508がブランドにもたらしてくれるものに、とても満足しています」

英AUTOCAR編集部が入手したデータによると、プジョーが昨年英国で販売した508は1200台強で、これに対して3008は1万2200台だった。しかしヨークは、508の法人需要は強く、社用車市場で重要な役割を果たしていると話してくれた。

408のデザインに込められたプジョーの期待

AUTOCARは、新型プジョー408のデザインを担当したピエール=ポール・マッテイにインタビューを行った。

――408の開発プロジェクトが始まってから7年が経っているそうですね。適切なタイミングを逃さないか、心配にはなりませんでしたか?

「このようなクルマをデザインする人はいない、というのがわたし達の見込み(期待)でした。プジョーにとっては大きなチャンスなのです。『我々がこの空いたスペースを見ているなら、他のブランドも見ているかもしれない』と考えていました。そうならなくてよかったです」

――新型308と408は、同時進行で作られました。なぜでしょうか?

プジョー408のデザイン・プロジェクト・マネージャー、ピエール=ポール・マッテイ
プジョー408のデザイン・プロジェクト・マネージャー、ピエール=ポール・マッテイ    プジョー

「このようにアプローチすることで、308と408で共有できる部品(特にフロントライトやリアライトなど)がわかるようになりました。フロントガラスの位置も308とまったく同じです。インテリアは408用にデザインしたものですが、308にも採用されました。これは、両モデルが同じセグメントであるからこそ可能なことでした」

――デザインで一番苦労したことは何ですか?

「特異なプロポーションにダイナミズムとエレガンスを与えること、ですね。古典的なセダンスタイルではうまくいかないことは分かっていました。あるデザイナーは、車体後部のシルエットを508にして試してみたのですが、すぐにそのことに気づいたのです。わたし達は新しいデザイン言語を発明しなければなりませんでした。室内の広さを維持しつつ、ダイナミズムを与えるのです」

――リアバンパーは他のプジョーとは異なります。なぜでしょう?

「このリアバンパーは必要でした。クルマが細く見えるのです。実際にはかなりワイドなんですよ。また、このバンパーでボディカラーをカットすることで、ダイナミズムが生まれます。わたし達が目指したのはディスラプティブ(予期せぬ方法で革新をもたらすこと)であり、このバンパーはそれを実現しています」

記事に関わった人々

  • 執筆

    レイチェル・バージェス

    Rachel Burgess

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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