パナソニック、JVCケンウッドが出資 「ビューレカ」とは エッジAIと通信型ドラレコの可能性
公開 : 2022.06.23 05:45
JVCケンウッドが考える出資のメリット
JVCケンウッド代表取締役 専務執行役員 モビリティ&テレマティクスサービス分野責任者、事業改革担当の野村昌雄氏は、出資の理由について「エッジAIハードウェアを遠隔でマネジメントできるビューレカの技術に、弊社の通信型ドライブレコーダーが新たな付加価値を提供できると考えた」と明かす。
その上で、「3社のパートナーシップをベースに、今後はエッジAIプラットフォームのマネジメントに対応できる仕組みを拡大させ、(ケンウッド製品の)安心安全をさらに強化していけると期待している」と述べた。
もともとJVCケンウッドでは、損保会社向けに通信型ドライブレコーダーの実績を持っており、その出荷台数は今年度中には累計200万台に達する予定だ。
野村氏はこの通信型ドライブレコーダーの発展性にも言及し、「通信型ドライブレコーダーはスマホのようなものであり、アプリのダウンロードにより様々な機能が利用できるようになる。ビューレカが提供するエッジAIプラットフォームによって、機能強化だけでなく、通信型ドライブレコーダーのマネジメントによってユーザーの信頼性や安定性にも貢献できる」とした。
また、JVCケンウッドではエッジAIを活用する仕組みとして「通信型ドライブレコーダーにとどまらず、他にもカメラをベースとしたエッジAI機能を活用した製品の投入を検討中で、距離センサーや位置センサーによる計測によって何らかの新たなサービスに持って行けるのではないかと考えている。それらを実行するためにもビューレカのプラットフォームは重要だ」(野村氏)とも述べ、ビューレカへ出資するメリットを強調した。
10年越しのプロジェクト 世界への展開も
この日、出資会社の代表として登壇したパナソニックHD 執行役員 グループCTO コーポレートイノベーション・ベンチャー戦略担当の小川立夫氏は、「2012年からエッジAIの可能性に着目し、10年間に渡ってトライアルを繰り返してきた。しかし、パナソニックグループでのリニアな成長を目指すよりは、出資会社を募って勝負をし、2倍3倍という高い成長につなげる挑戦をするべきと考えた」と新会社設立の背景を説明する。
また、もう1つの出資会社であるWiL ジェネラルパートナー兼共同創業者の松本真尚氏は、「パナソニックグループとJVCケンウッドのリソースを活用した大企業発のベンチャー企業を生む仕組みを構築できた。大企業の変革・オープンイノベーション創出支援に取り組むWiLとして、その挑戦する高い志に社会的意義を感じる。世界に通用するサービスを提供していきたい」と述べた。
なお、新会社の出資比率は、パナソニックHDが32.967%、JVCケンウッドが32.967%、WiLが31.868%となり、残りの2.198%を代表取締役に就く宮崎秋弘氏が受け持つ。
売り上げ目標については、ここ2年で店舗や介護、ドライブレコーダーによって足場固めをし、その後グローバルへの展開を予定。2030年度には売上高100億円を目指す。