ここ数年で1番の運転する喜び モーガン・スーパー3へ試乗 スリーホイラーの後継 後編
公開 : 2022.07.02 08:26 更新 : 2022.11.30 13:35
英国伝統のモーガンから、最新の3輪スポーツが登場。運転する喜びの豊かさを、英国編集部は高く評価します。
クラシカルでありながら未来的な雰囲気
モーガン・スーパー3のボディサイズは、従来のスリーホイラーよりひと回り大きい。それでも全長は3581mm、全幅は1840mm、全高は1132mmと充分小さい。
キャビンまわりは、IP64水準の防水性が与えられ、砂漠や雨の日のドライブにも対応。シートの表皮は、バイクのシートにも用いられるビニールレザーで覆われた。
ドアはないが、アルミ製のサポートへ足を乗せれば、乗降時に汚れた靴でシートを踏む必要はない。シートは固定式で、ダッシュボード下のケーブルを引くと、ペダルボックスが前後にスライドする。
ステアリングホイールは、上下方向のチルトと、前後方向のテレスコピックが調整できる。もしデザインが気に入らなければ、ステアリングホイール自体は6種類から選べるという。
中央に2つ並んだ、丸く小さなメーターはモニター式。表示はクリアだ。小ぶりなエアロスクリーンが、前方に2枚並ぶ。大きなフロントガラスにするとワイパーが必要になるため、これ以外は用意されていない。
スーパー3はクラシカルでありながら、どこか未来的な雰囲気で、筆者はとても気に入った。陽光を反射するボディには、景色も映り込む。穏やかな水面のように。
ボディカラーは、試乗車のシルバーだけでなくイエローなども選べる。AUTOCARではグレーやシルバーなどモノクロを好む傾向にあるが、クラシカルなスーパー3の場合は、ソリッドで鮮やかな色の方が似合いそうだ。
喜びの塊といえるドライビング体験
確認はこのくらいにして、発進させてみよう。スーパー3は、まさに喜びの塊。試乗車にはオプションのスポーツエグゾーストが装備され、サウンドも一層楽しい。スターターボタンを押して3気筒エンジンを目覚めさせたら、鮮烈な破裂音も放たれた。
ペダル類の感触は素晴らしく、パワーアシストの付かないステアリングホイールはダイレクト。ロックトゥロックは2.5回転と適度にクイックで、反応はリニアだ。
低い速度域でも乗り心地は良好で、直進安定性にも優れる。エンジンのレスポンスも、ドライバーの意図した通り。低回転域からたくましく、635kgという軽いボディを力強く押し出す。レブリミットは7000rpmだが、そこまで回す必要はないだろう。
シフトレバーのストロークは長いものの、滑らか。ブレーキペダルの剛性感も高く、モーガンが操作系の重み付けを理解していることを実感する。他社にも真似して欲しいと思うほど。
試乗場所はモーガンの拠点がある、バーミンガムの南に位置するウスターシャー州。エンジンを吹け上がらせ、シフトアップとシフトダウンを繰り返す。コーナーの出口でフルスロットルを与えれば、痛快な轟音が響き渡る。
自然吸気3気筒エンジンの最高出力は119psと控えめながら、0-100km/h加速は7.0秒でこなす。短い直線とカーブの連続が気持ちイイ。といっても、速度域は60km/hから80km/hほどだが。