ミドシップ・スポーツ比較試乗 ロータス・エミーラ x ポルシェ718ケイマン 精鋭を超えるか? 前編
公開 : 2022.07.02 09:45
高級でハイテクで現代的なスポーツカー
2022年にスポーツカーを選ぼうとする人は、軽さや生々しさ、純粋さ、感覚の豊かさといったもの以上を求めている。使い勝手が良く、運転しやすいパッケージングや、快適なシートとドライビングポジションも欠かせない。
上質で見惚れるようなインテリアも欲しいし、モダンなインフォテインメント技術も外せない。小旅行の荷物を詰めるラゲッジスペースも。エミーラは、それらを叶えた乗りやすいスポーツカーに仕上がっている。高級でハイテクで、現代的ともいえる。
これらの特長は、商業的にも成功を掴んできたドイツ・ブランドが意識してきた内容そのもの。今回の比較相手も、自ずと導かれる。このクラスの精鋭でベンチマークといえる、ミドシップのポルシェ718ケイマンだ。しかも、4.0L 6気筒のGTSを設定した。
ちなみに718ケイマンには、水平対向4気筒を積むモデルも存在する。そちらは今後、メルセデスAMG由来の直列4気筒を搭載するエミーラが、対峙することになる。
ノーサンバーランド州まで運転してきたから、718ケイマンとエミーラのストロングポイントはある程度見えている。ロータス・エミーラにとってこの比較は、手強いものになりそうだ。
現行の982世代の718ケイマンは、登場から6年が経過した。2023年には、次期型の発売が始まる予定にある。モデルサイクルとしては末期になるが、特にGTSの場合は、このクラスで他に例のない運転のしやすさと、走りの魅力とを両立させている。
鮮明な感触やタイトな姿勢制御、一体感
アルピーヌA110も素晴らしいスポーツカーだ。軽く空間効率も良い。流麗な操縦性を備え、ドライバーへの訴求力は高い。だが、販売数では718ケイマンには届いていない。
エミーラは大きくワイド。見た目の軽快感でいえば、718ケイマンの方が上だろう。だが、より鮮明な感触や、タイトな姿勢制御、ドライバーとの一体感といった面では勝る。これは古いロータス・ファンにとっても、歓迎すべきストロングポイントだと思う。
一方で、より軽快な印象を与えてくれるのは、718ケイマンの方。ポルシェらしく、存分に没頭することもできる。とはいえ、エミーラも紛れもないドライバーズカーだ。
走りの個性へ話を進める前に、インテリアに触れておこう。エミーラのシートは適度にクッションが効いていて、レザーも高品質。身長の高い筆者にとっては、718ケイマンより若干乗り降りしにくく感じたが、慣れの問題でもあるだろう。
新しいロータスの車内は、新鮮味が強い。3枚のペダルは、エヴォーラよりずっと奥に並んでいる。ホイールアーチに影響を受けることなく、ほぼドライバーの正面に位置しており、ステアリングホイールとの関係性も良好。これも同社のモデルとしては新しい。
2台とも着座位置は低い。エミーラの方は、ダッシュボードやウインドウ、ルーフの位置が低く、車内に納まったという印象が強い。718ケイマンは人間工学をより重視しており、一層快適に思えるが、エミーラも負けてはいない。
この続きは後編にて。