今乗るならコスパに秀でた3代目 マツダMX-5(ロードスター/NC型) 英国版中古車ガイド

公開 : 2022.07.07 08:25

価格帯で最高水準のハンドリング性能

ストレートスピードは、マツダロードスターの中心にはない。この価格帯としては最高水準といえる、ハンドリング性能を味わうためのクルマだ。

ソフトトップでもハードトップでも、ロードスターは驚くほど軽快で敏捷。ステアリングホイールの反応は正確で、適度なグリップ力を活かし、流れるようなコーナリングを楽しめる。

マツダMX-5(ロードスター/NC型/2005〜2015年/英国仕様)
マツダMX-5(ロードスター/NC型/2005〜2015年/英国仕様)

乗り心地は快適と呼べる範囲にあり、舗装の古い路面でも安定性が失われることはない。リトラクタブル・ハードトップの場合はサスペンションが若干柔らかく、よりしなやかにこなす。

一般的な環境では、1.8Lエンジンでも充分に速い。中古車価格や維持費も、若干だが手頃になる。しかし、ロードスターの優れたシャシー性能を最大限に引き出したいなら、2.0Lエンジンの方がオススメといえるだろう。

新車時代のAUTOCARの評価は

マツダ・ロードスターは素晴らしく楽しい。3代目のNC型は大きくなったが、正常進化を遂げている。純粋なドライビング・プレジャーでは、ほかのモデルには届かない水準にあるといっていい。

積極的に運転すれば、免許書が危ぶまれない速度域で、スリリングな体験を与えてくれる。ホットハッチを1年間運転するより、ロードスターを1週間運転した方が、ドライビング技術も向上するはず。

マツダMX-5(ロードスター/NC型/2005〜2015年/英国仕様)
マツダMX-5(ロードスター/NC型/2005〜2015年/英国仕様)

スピードとパワー、エンターテインメント性を、見事にバランスさせている。先代のロードスターより、実用性が向上している点も評価したい。(2005年2月24日)

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

ほぼトラブルフリーといえるものの、エンジンオイルの管理は重要。定期的な交換と油量チェックは基本といえる。

エンジンを始動したら、エンジンオイルが燃えて生じる白煙が、排気ガスに混ざっていないか確かめたい。次に、クランクシャフトからの異音がないか確認する。

マツダMX-5(ロードスター/NC型/2005〜2015年/英国仕様)
マツダMX-5(ロードスター/NC型/2005〜2015年/英国仕様)

走行距離が伸びると、点火コイルやハーネスが劣化し不具合を招きがち。タイミングチェーンで寿命は長いもののテンショナーは傷むので、定期的な点検は不可欠。

ボディ

ロードスターのボディは錆びる。ボンネットのエッジやエンジンルーム内、トランクのフロアやシャシーなどを中心に観察したい。

事故が原因で生じるボディパネルの隙間の狂いや、バンパーの擦り傷の処理などを調べる。ワイパーの下側にあるプラスティック製パネルは、外れたり緩むと雨水をきれいに流せなくなる。

ソフトトップのドレインホールが詰まっていないか、車内のカーペットが湿っていないかもチェックポイント。リトラクタブル・ハードトップの場合は、ルーフの開閉がスムーズかも確かめたい。

電気系統

DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)などの警告灯は、バッテリーの接点不良で点灯することがある。

トランスミッション

5速と6速のMTは、気温が低い日の出発直後はシフトレバーの動きが重いものの、温まると軽くなる。リアデフからの異音がないかも、試乗で確かめたい。

サスペンションとブレーキ

ダンパーのヘタリ具合を確認する。前後のアンチロールバー・ドロップリンクは、6万kmから7万kmほどでヘタる。コツコツと音が出ていないか、試乗時は聞き耳を立てる。

ブレーキ・キャリパーは固着しがち。走行中に引きずっている場合は、異常に加熱する。タイヤが偏摩耗している場合は、アライメントが狂っている証拠。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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