2.0L直4が繰り出す407ps メルセデスAMG C 43へ試乗 電動アシスト・ターボ採用
公開 : 2022.07.10 08:25
従来の音響的な荒々しさは伴わない
バワーバンドは幅広く、回転域を問わずレスポンスはリニア。ただし、試乗車の場合はレッドラインの7000rpmまで回転らなかった。9速ATでマニュアルモードを選んでも、最高出力が得られる6750rpmを少し過ぎるとリミッターが効いていた。
とはいえ2.0Lエンジンは至ってたくましく、0-100km/h加速を4.6秒でこなすという、額面通りに鋭く加速する。レースモードを選ぶと、圧倒されるほどのスタートダッシュも披露する。
一方で新しいC 43には、従来のメルセデスAMGには標準装備といえた、音響的な荒々しさが伴っていない。ハイチューニングな4気筒エンジンらしい、活発なサウンドも響かせるが、クルージング時は沈黙状態に近いといっていい。
踏み込んだアクセルペダルを緩めると、アフターファイヤーの破裂音やグズる唸りが放たれる。スピーカーを介して、デジタル的にも音響体験を盛り上げている。それでも、フルスロットル時に車内が重厚なサウンドで満たされるほどではない。
ダンパーのモードに関係なく、乗り心地は低速域で硬め。速度域の上昇とともに負荷が掛かり始めると、路面の凹凸などを感心するほど巧みに処理し、しなやかさが出てくる。
1番足回りが引き締まるスポーツプラス・モードを選んでも、一般道での走行が耐えられなくなることはなかった。試乗車は、C 43ではモデル最大径となる20インチのアルミホイールを履いていた。
ステアリングやトラクションは上々
9速ATの変速感は、とても洗練されている。ただし、ステアリングホイール裏のパドルを弾いて変速を求めると、0.5秒ほど遅れて反応する場面もあった。メルセデスAMGによれば、納車前にソフトウエアのアップデートで改善予定だという。
ステアリングフィールも上々。電動パワーステアリングを通じて、路面状態の変化なども手のひらに伝わってきていた。操舵に対する反応はリニアで、ステアリングホイールの重み付けもよく練られている。
四輪駆動ということで、トラクションにはまったく不足がない。路面が濡れていても、試乗したフランスのワインディングを、タイヤはガッチリと掴み続けていた。
4気筒エンジンが軽量なこともあって、意欲的にフロントノーズはラインを辿ってくれる。きついヘアピンカーブへ突っ込むと、フロントタイヤが耐えきれず、穏やかなアンダーステアへ転じていたが。
アクセルペダルを加減し、リアタイヤで制御を加えようと試みても、後ろから押し出されるような感覚は薄い。動的特性のバランスは、従来のメルセデスAMGらしいというより、アウディのSモデルに近いように感じた。